【sauna&bath NiHITARU・ニヒタル姉さん】二刀流から覚悟の独立「東陽町に、遊び場を」

[ 2025年8月29日 12:15 ]

sauna&bath NiHITARUの水上代表
Photo By 提供写真

 【SAUNANCHU~ととのいの裏方たち~】東陽町に誕生した「sauna&bath NiHITARU」は、サウナ過疎地といわれてきた江東区に新風を吹き込む存在だ。オープン2年目、その舵を握るのはオーナー兼プロデューサーの“ニヒタル姉さん”こと水上瞳さん。会社員時代の葛藤を乗り越え、次のステージを見据える彼女の視線を追った。

 最初の2年間は想像もつかない「二刀流」だった。前職は上場企業の広報担当。安定を捨てて起業に踏み出そうとした彼女に、当時、両親は猛反対した。「1年間やって軌道に乗ったら反対する人はいないはず」と腹をくくり、会社員と店舗運営の掛け持ちを決意する。平日は出社前後に開業準備、睡眠は平均5時間を下回る生活。今では考えられない無茶なスケジュールで2年を駆け抜けてきた。転機は昨年12月。経営の安定を受けて退社を決断し、サウナ一本に舵を切る。「やりたいことがどんどん出てくる。自分の視界が広がった感覚です」と語る今、挑戦の幅はさらに広がっている。

 サウナとの出会いは、コロナ禍でシェアハウスに暮らしていた頃にさかのぼる。緊急事態宣言下で家にこもる日々、共用ラウンジでは男性陣が延々とサウナ談義を繰り広げていた。「熱く語りすぎて少しうざったくて(笑い)。まず“ととのう”の意味が分からない」と距離を覚えつつも「そこまで心を動かすものって何だろう」と少しずつ好奇心が芽生えた。やがて誘われるまま川沿いのテントサウナへ。汗をたっぷりかいて川へ飛び込んだ瞬間、「初めて“気持ちいい”と思った」。自然を全身で浴びる爽快感は衝撃だった。それからの行動は早かった。女性が入りやすい施設を一通り巡り、施設を構えるまでに。「気付いたら店をやっていたんです」と水上さんは笑った。

 NiHITARUでは“ととのう”という言葉はあえて使わない。音に浸り、湯に浸り、ぬくもりに浸る。「スマホも全部ロッカーにしまって、ここでの1時間は何かしら自分の感情に浸ってほしいんです」。自分だけの何かに没入する特別な時間。その願いを店名に託した。サウナブームで利用者は増えた一方、“ととのう”感覚が分からない人も少なくはない。むしろ敷居を上げてしまう言葉になり得るからこそ、「私たちは敷居を下げたかった」。ビギナーの心に寄り添う姿勢が、NiHITARUの核にある。

 大地の色合いに近いアースカラーを基調とした店内は、落ち着きがあり、どこか時間がゆっくりと流れる。コンパクトな空間にサウナ・水風呂・内気浴・外気浴が無駄なく配置され、からだをそっと包むあたたかい湯船も備える。さらに、利用客を飽きさせない工夫が随所にちりばめられている。「一人になれる“おこもり”空間をすべての場所に用意しています」。L字に入り組む水風呂、温浴の奥にある寝湯、サウナ室3段目の“勇者席”は特に人気。拡張された外気浴HANAREの小上がり特等席など、いずれも空いていたらうれしい特別な空間ばかりだ。「誰にも邪魔されない空間で、毎日違う体験ができるように」。そんな狙いが細部の仕掛けに表れ、ファンの心をつかんで離さない。

 毎日開催のアウフグースも人気コンテンツの一つ。スタッフには、AUFGUSS CHAMPIONSHIP JAPAN(アウフグース・チャンピオンシップ・ジャパン)2025で日本一に輝いた「のこのこ窪田」を筆頭に個性派がそろう。節分の「鬼ロウリュ」やハロウィンの「コスプレ・アウフグース」など、季節に合わせた企画も豊富だ。「お客様を楽しませ
たい。飽きさせないためのコンテンツをつくっている」。会社員時代に現場で鍛えた企画力がここでも生きる。「“いつもと違うNiHITARU、面白かったよ”“あのイベントで風受けました”といった反応が嬉しいんです」。スタッフと利用客の距離が縮まる会話のきっかけにもなっている。

 大阪府吹田市出身の水上さんにとって、東陽町は幼少期や社会人生活を過ごした第二の故郷。東西線の主要駅として日々多くの人々が行き交い、大企業の社屋も立ち並ぶ。「東陽町にはポテンシャルしかない。現状では用事はあるけど、遊べるイメージがない」。近隣の清澄白河がカフェの街として賑わう今、「“東陽町ってサウナも、おいしいラーメンもあるよね。週末いこう”こうしたムーブメントはきっと起こせるはず」と、この街の可能性を誰よりも信じている。最近は近隣事業者に声をかけてバンドを結成。「いろんな人にお披露目できるいい機会。街を盛り上げるために練習してます」と江東区文化センターで来年開催されるライブのオーディションに向け、日々腕を磨いている。

 今秋、NiHITARUは新たな一歩を踏み出す。「東陽町に遊び場、娯楽を増やしたい」という思いを形にしたポーカールーム「NiHITARU Play」をサウナに隣接してオープンする予定だ。サウナ×ポーカーという新機軸に期待が高まる。「ルールは簡単なのに、知れば知るほど深い。うちのお客様は男性一人客が中心。サウナ前後に遊べる場ができれば、相乗効果が生まれるはず」と熱を込めて展望を語る。

 数年後、東陽町は今とまったく違う姿になっているかもしれない。地域に根ざして街を動かす水上さんの一貫した姿勢と情熱は、NiHITARUの進化を加速させている。訪れるたびに新しい一面を見せてくれる施設。ここが遊びの目的地になる日は、もう手の届くところまできている。

 ◆アウフグース(Aufguss)とは 熱したサウナストーンにアロマ水や氷球を注ぎ、立ちのぼる蒸気をタオルで送って体感温度を高めるプログラム。蒸気による相対湿度の上昇で体感温度が高まり、発汗と血管拡張を促す。

【sauna&bath NiHITARU】
・住所:東京都江東区東陽4丁目5番9号(東京メトロ東西線「東陽町駅」4番出口から徒歩約1分
・営業時間
月~木=13:30~23:30
水=6:30~9:30 11:00 ~ 23:30
金=13:30~25:30
土・日・祝=9:00~23:30

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