ひょうろく 「諦め」の新境地 「こだわらない」風貌で開けた芸人&俳優の道

[ 2025年6月15日 05:00 ]

八の字まゆの“困った顔”がなんとも魅力的なひょうろく(撮影・西川祐介)
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 【俺の顔】究極の困り顔でバラエティー番組だけでなく、テレビドラマでも大活躍中のひょうろく(37)。芸能界入りして13年、芸人仲間にイジられることでキャラクターを発揮し始め、放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ではその独特な表情を生かした演技が光っている。視聴者の目を引きつけて離さない魅力は、意外にも「諦め」から生まれていた。(前田 拓磨)

 顔のチャームポイントを聞くと困ったように言葉を紡いだ。
 「父親譲りの大きな鼻ですかね。若い頃はずっと変な顔と言われていました」

 髪の毛をきれいにそり上げた丸刈りに、八の字に垂れ下がった眉毛。人から愛される独特な風貌は意外にも「諦め」から生まれた。「ハゲ始めたからそっているだけなんです。これしかないから、これで生きていく。ポリシーもこだわりも全くありません。眉毛も同じ時期に触らなくなりました」。強烈なトレードマークは老いへの抵抗をやめたことによる偶然の産物だった。「お笑いを頑張ろうとしていたけど、何もできないという現実。諦め、絶望が大きかったと思います」。取り繕わなくなったことがお笑いタレント、俳優としての魅力も引き立てる結果となった。

 2012年、鹿児島高専時代の同級生に誘われ、お笑いコンビ「ジュウジマル」を結成。勤務していた建築関係の会社を辞め、芸能界に飛び込んだ。しかし、売れない時期が続き、アルバイト漬けの生活に。「相方がネタを作ってくれたり、とにかく頑張ってくれていたので“僕からやめたい”と言うのだけはしないと決めていました」と退路は断った。

 転機は20年4月、お笑いコンビ「さらば青春の光」のYouTube番組に出演したことだった。2人の事務所に突如として押しかけたひょうろくの風貌とキャラクターを2人が絶賛。「ジュウジマル」は20年12月に解散したが、その後はさらば青春の光のYouTubeにたびたび出演するようになった。「芸人としては完全にコースアウトして、周りの方の助けでやぶから出てきたような感じです。賞レースなどは完全に諦めの境地です」。突然売れた現状を冷静に分析した。

 人気は広がり、TBS「水曜日のダウンタウン」などに出演。番組を通じて心根の優しさや演技力の高さなど新たな一面が次々と発掘され、視聴者を引き込んだ。「僕一人だとお笑いにもなっていなくて大惨事。周りの芸人やスタッフが笑いにしてくださっている」と、どこまでも謙虚に感謝する。

 話題が話題を呼び、22年にはBSフジのドラマ「コンビニ★ヒーローズ~あなたのSOSいただきました!!~」で俳優デビュー。昨年からはドラマ、CMの出演が増えている。今年3月にはBS日テレ「コンシェルジュの水戸倉さん」でドラマ初主演。勢いそのまま大河ドラマに起用された。

 「べらぼう」では松前藩主の弟で家老の松前廣年を演じている。今月8日の放送ではロシアとの密貿易の証拠を狙う花魁(おいらん)に言い寄られ、鼻の下を伸ばす自然な演技が絶賛された。「独特の緊張感がありました。全然うまくできなかったのですが、5年後、10年後それがあったから今の自分があると思えるようになるといいなと思います」

 今後は俳優業を軸に活躍の場を広げていく意向という。「できないかなと思いますが、結婚とかはしたい」。諦めエピソードの数々を話す中で、結婚願望はあることを明かした。接するたびに“顔”の変わる不思議なひょうろくの魅力は尽きない。

 ≪渡辺謙に「演技って、何ですか?」≫初の大河ドラマ撮影では大胆な行動に出た。共演する渡辺謙(65)に「演技って、何ですか?」と直接質問。突然の問いにさすがの渡辺も困惑したようで「ざっくりしすぎてよく分からないけど、難しく考えなくていいよ。みんなそこまで細かく考えていない」と返された。現在は俳優業に軸を置いているだけに「いろいろ経験して自分の中で何が分からないかをまず理解したい。次にお会いしたら、もう一回聞いてみたいですね」。俳優として経験を積み、再共演のあかつきにはさらに深い質問をぶつけるつもりだ。

 ◇ひょうろく 1987年(昭62)7月7日生まれ、鹿児島県出身の37歳。2012年に高専の同級生とお笑いコンビ「ジュウジマル」を結成。「M―1グランプリ2019」で3回戦に進出。20年12月に解散し、現在はフリーで活動中。今年、BS日テレドラマ「コンシェルジュの水戸倉さん」でドラマ初主演を務めた。芸名の由来は地元鹿児島の銘菓「兵六餅」から。

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