「あんぱん」朝ドラ異例“15分2人芝居”嵩・北村匠海&千尋・中沢元紀“実録”編集で変更 CP語る裏側

[ 2025年6月12日 08:15 ]

連続テレビ小説「あんぱん」第54話。柳井千尋(中沢元紀・右)は柳井嵩(北村匠海)に「この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより、わしは愛する人のために生きたい!」――(C)NHK
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 女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は12日、第54回が放送され、嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)、柳井兄弟の3年ぶりの再会が描かれた。法律の道に進んだものの、千尋は海軍に志願。嵩はショック。2人は思いの丈をぶつけ合った。主人公・若松のぶはおろか、役名のある登場人物は兄弟だけという朝ドラ異例&異色の15分。涙の視聴者が続出し、インターネット上で大反響を呼んだ。制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー(CP)に狙いや撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。

 第54回は、柳井嵩(北村匠海)が入隊して2年後、1944年(昭和19年)夏。京都帝国大学に進んだ柳井千尋(中沢元紀)が海軍の士官になっていたことに、兄はショックを隠せない。弟は海軍予備学生に志願したことを説明し「もう後戻りはできん」と淡々。そして“ある古びた手帳”を嵩に手渡し…という展開。

 学友たちが志願する中、千尋は「兄貴もあの場にいれば分かる。みんなが行くのに、一人だけ行かないわけにはいかなかった」。任務は駆逐艦に乗り、敵の潜水艦に爆雷を投下すること。嵩は弟の変わりように驚き、憤る。「おまえが耳を澄まして聞きたかったのは、敵のスクリューの音じゃないだろ!」「俺にとっては、世界でたった一人の弟なんだ!」――。

 千尋は5日後、佐世保から南方へ向かう。「もう後戻りはできん」。父・柳井清(二宮和也)のボロボロの写真を自分が持つ代わりに、古びた父の手帳をお守りとして兄に手渡した。

 千尋は若松のぶ(今田美桜)への想いも吐露。「もういっぺん、シーソーに乗りたい…」「わしは生きて帰れたら、もう誰にも遠慮はせん。今度こそのぶさんをつかまえる。(人妻でも)構わん!」「この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより、わしは愛する人のために生きたい!」――。

 嵩「(弟を抱き締め)千尋、生きて帰ってこい。必ず生きて帰れ!生きて帰ってきたら、今度こそ、自分の人生を生きろ」

 千尋「兄貴…お元気で」

 嵩「武運長久を!祈ってるぞ」

 千尋「ありがとうございます!柳井千尋少尉、行きます!」

 2人は敬礼し、再び離ればなれに。夏の夕暮れ、蝉時雨が響き渡っている。

 柳井千尋役のモデルとなったのは、やなせ氏の2歳下の弟・柳瀬千尋さん。実際に京都帝国大学で法律を学び、海軍に志願。小倉の旅館で再会したのも史実で、やなせ氏の著書に当時の心境などが書き残されている。

 これらを基に、中園氏が作劇。倉崎氏は「千尋さんが幼い時からお父さんの写真を持っていたのも史実で、小倉の旅館でやなせさんに見せたかは分かっていませんが、このエピソードは必ず盛り込みたいと、中園さんと初期の段階から打ち合わせをしていて。ここぞというタイミングで書いてくださいました」と明かした。

 柳井兄弟にとって、これが今生の別れになるかもしれない、今作の最重要シーンの一つ。千尋が4度、口にした「この戦争がなかったら」――。「千尋の台詞に、我々『あんぱん』チームの思いを託しました」。のぶと嵩は幼なじみ、千尋も含めた3人のシーソー遊び、嵩がのぶに想いを告げられないまま渡しそびれたハンドバッグ…ドラマオリジナルの設定が、ここに集約された。千尋がのぶを想うのも、中園氏の初期のアイデアだという。

 回想シーンを除き、この回で嵩と千尋以外に登場したキャラクターは、役名のない仲居と学友3人。北村匠海と中沢元紀による“2人芝居だけ”で15分を構成した。

 「台本上は、この再会後に小倉連隊に戻った後の嵩のシーンなどが少しあったのですが、編集してみると、北村さんと中沢さんの渾身の芝居に我々も心打たれ、この日は2人のシーンで終わるべきじゃないかと(第11週の演出担当)柳川(強)監督とも意見が一致しました。現場で見ていても、芝居というより、ドキュメントだったんですよね。北村さんと中沢さんが長い撮影期間で重ねてきた時間、関係性がつながっているというか。千尋のような若者は当時たくさんいましたし、嵩と千尋の言葉を今の時代を生きるすべての世代の皆さんに届けたかったのです」

 朝ドラ史に刻まれる「神回」となった。

 近年の朝ドラで登場人物が少ない回としては、2020年度前期「エール」の“ほぼ4人芝居”(第23回=窪田正孝&二階堂ふみ&薬師丸ひろ子&唐沢寿明、第116回=窪田&二階堂&古川琴音&宮沢氷魚)、21年度前期「おかえりモネ」の“ほぼ2人芝居”(第69回=内野聖陽&西島秀俊、ヒロイン・清原果耶は登場)、24年度前期「虎に翼」の“ほぼ2人芝居”(第95回=オープニングタイトルバック後の約10分、伊藤沙莉&岡田将生)などがあるが、主人公“不在”となると珍しい。

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