「あんぱん」やなせたかし氏夫妻の物語 なぜ題材?番組CP「奇跡的一致」脚本・中園ミホ氏と運命の出会い

[ 2025年4月2日 08:15 ]

「あんぱん」制作統括・倉崎憲氏インタビュー

連続テレビ小説「あんぱん」のメーンビジュアル。主人公・朝田のぶ(今田美桜)と柳井嵩(北村匠海)(C)NHK
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 女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は3月31日、半年間にわたる長丁場の幕が上がり、好スタートを切った。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く物語。なぜ、やなせ氏夫妻を題材に選んだのか。そこには、制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー(CP)と脚本家・中園ミホ氏(65)の“運命的な出会い”があった。

 「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどのヒット作を生み続ける中園氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。中園氏は2014年度前期「花子とアン」以来2回目の朝ドラ脚本。今田は21年度前期「おかえりモネ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。

 倉崎氏が放送100年にあたる年の朝ドラの制作統括を務めることに決まったのは、22年12月。現在37歳だが、当時、人生に悩んでいた。「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」――。やなせ氏が手掛けた「アンパンマンのマーチ」(アニメ「それいけ!アンパンマン」のオープニング主題歌)の歌詞が胸に響いた。

 「制作統括を打診された日の帰り道、雨に打たれながら家まで遠回りして4時間ぐらい歩き続けながら題材を考えたんですけど、無意識に『アンパンマンのマーチ』を口ずさむ自分がいて。その歌詞に自分自身が問い掛けられている気がしました。その頃ちょうど、40歳から先の人生をどう生きていけばいいのか、悶々と迷う日々が続いていて、実はNHKを辞めて転職する瀬戸際だったんです。当時のドラマ部長から“そう言えば、中園さんも晩年の生き方に関心があって、そういう企画をやってみたいと言っていたよ。倉崎くんと気が合うと思うから、一度、会ってみたら?”と勧められました」

 中園氏とは初対面から意気投合し「この人となら、長丁場の朝ドラを一緒に乗り越えられる」と脚本執筆をオファー。次の打ち合わせで、お互い複数の題材を持ち寄ったところ、「奇跡的に」(倉崎CP)やなせ氏が一致した。

 「その雨に打たれた日から、大人になればなるほど染みる、これほど哲学的な歌詞を書くことのできるやなせさんに惹きつけられて、リサーチを始めました。調べれば調べるほど、妻の暢さんがいなければ、そもそも“漫画家・やなせたかし”も、もっと言えば『アンパンマン』も生まれなかったかもしれないと感じました。放送100年の年ということもあって、原点に戻って女性主人公の朝ドラにしたかったので、暢さんをヒロインにして、やなさせん夫妻をモデルに描こうと考えました」

 「僕はやなさせんの書籍を数冊持ってブレストに臨んだんですけど、中園さんのアイデアもやなせさん。しかも、中園さんは小学生の時にやなせさんと文通をされていた、と。この衝撃の事実を知って本当に驚きましたし、こんな偶然があるのか、これはもう運命だと鳥肌が立ちました。高知がご当地の朝ドラは(23年度前期)『らんまん』から2年しか空いていないですけど、今やらないと死ねない、絶対後悔する。『アンパンマンのマーチ』に(自分の使命や相手の幸せが分からないのは)“そんなのは いやだ!”という歌詞がありますけど、これは自分の意志で人生を変えていけるし、変えていかなきゃいけない、とも解釈しました。この企画は、やなせさんに人一倍の思い入れがある中園さんとの組み合わせでしか成立しない。今、自分がやりたいこと、やるべきことは転職じゃなく、放送100年の朝ドラに一生懸命、向き合うこと。あらためて、そう気づかされました」

 約2年間を準備を経て、倉崎CPの迷いなき挑戦が幕を開けた。

 ◇倉崎 憲(くらさき・けん)2011年、NHKに入局し、東京ドラマ部に配属。山形放送局を経て、17年から再び東京ドラマ部。朝ドラに携わるのは20年度前期「エール」(演出)、21年度前期「おかえりモネ」(プロデューサー)に続き3作目となる。プロデュースした主な作品に、よるドラ「ここは今から倫理です。」、特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」「倫敦ノ山本五十六」などがある。

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