ワッキー(1)特攻の母を舞台で紹介し続ける理由「戦争のない世の中を作るため。僕は真剣です」
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お笑いコンビ「ペナルティ」のワッキー(52)が今月19日から舞台「Mother~特攻の母 鳥濱トメ物語~」に出演する。16年続くこの舞台に初めて参加したのは2013年。世界平和を願い続けるこの舞台のテーマに共鳴し、今年はついにプロデューサーを務めることになった。資金不足から続行断念の可能性が高かった作品を、30年を超えるキャリアで培った人脈と暑苦しすぎるほとの熱意で舞台化を実現。新米プロデューサーが手塩にかけた作品を世界中に問う。(取材・構成 江良 真)
【ワッキーインタビュー(1)】
◆◆ 勢いでなったプロデューサー「見当もついてないのに」お金どうにかする! ◆◆
―初めて参加されてから今年で12年なんですね。しかもプロデューサーを務められる。
「とにかく何もわからなさすぎてどうしたものかと思ったんで、とりあえず吉本興業のスタッフに声をかけてみたんです。一応、31年在籍しているんでペーペーの頃から仲良かった社員さんも、めっちゃ偉くなっちゃてるんですよ。でも、関係性は変わんない。おい、はい、という仲なんです。実はプロデューサーやるんだけど、ちょっとスペシャリストを集めてくれない?と言ったら、本当に集めてくれて(笑い)。スポンサー募るスペシャリスト、PRのスペシャリスト、チラシデザインのスペシャリストとか、もうアベンジャーズです(笑い)。頼んだらそれだけ集まってくれて、僕を助けてくれた。しゃべってても泣きそうなんですけど、一生懸命みんな頑張ってくれて、僕の思いを胸に頑張ってくれたんです」
―過去最強のスタッフ(笑い)。
「Motherの歴史で、そんなことは本当になかった。僕も12年やってるけど、集客にみんな必死で動いてましたから。チケット買ってくれるお客さんはもちろんなんですけど、サポートしてくれたみんなにも感謝しかないですね」
―初めて出演したのはどういうきっかけだったのでしょうか?
「初演の時はバレーボールの大林素子さんが主演でした。大林さんとは仲良しで、その時電話があったんです。当時のプロデューサーと3人でご飯食べながら、出てみないかって言われて。お芝居経験はゼロでした。でも、これも経験だなと思ってやってみようと思ったんです」
―それからずっと出演されているんですよね。コロナの影響なのでしょうが、21年から途絶えてしまいました。
「いつやる、いつやる?って話はしてたんです。でも、お金がないからできない、と言われて。じゃあ、お金があればできるのかって言ったら、できるってなったから、じゃあお金どうにかする!っていうふうに言って。全然見当もついてないのに言って(笑い)。で、スポンサー回りから始めたんです」
―売り言葉に買い言葉的な(笑い)。
「そうなんです(笑い)。いろいろ回っていたら、アース製薬の社長さんが以前Motherを見に来てくださってて興味を持ってもらいました。昔、一度はスポンサーでついてくれてた時期があったということだったので、その後にもう一度社長さんに挨拶しに行ったら、あの舞台のためならやりましょうっていうふうに言ってくださったんです。本当にもうアースさんがついてくださらなければ、今回はできなかった。ちょうどアース製薬さんが100周年です。昭和100年だったり戦後80年だったりっていうのも重なったというのも偶然なんですけど。いい方向になった感じですね」
◆◆ 「もし偏った作品だったら、のめり込んでいなかった」 ◆◆
―特攻の拠点だった鹿児島・知覧で兵隊さんが母親のように慕った食堂のおばさんを中心に描かれているということですが、ここまでのめりこまれた理由は何なのでしょう?
「まず実話だっていうところ。総勢53人出るんですが、ほとんどのキャストが実在した人物がモチーフになってるんです。ヒロインのトメさんは当然ですが、僕をはじめみんなモデルがいます。だから、みんな現地に行って、自分の役を徹底的に調べて、女性キャストはモデルの女性と同じような髪型にしているし、全員がこだわり抜いて演じています。これは16年間ずっと変わらない伝統です」
―兵隊さん役の方々も、みなさんとんでもなく入り込んで役作りをされていると聞きます。
「そうなんです。特攻隊役は昔の軍人さんの所作から入ります。敬礼や行進の号令、整列の仕方まで再現しています。さらに稽古前には兵隊さんがやっていた教練という運動をして気持ちを高めるんです。ステージでは全然出てこない。でもそこまで徹底してます。これが大変なんです。初参加の子たちは息が上がっちゃって、稽古になかなか入れないほど。毎回、新しい公演の前は初めての若い子たちのこと、大丈夫か?と思うんです。もやしっ子みたいな現代っ子だから。でもね、その教練を1回2回やり始めるとね、目つきが変わってくるんです。ピシッとしてくるんですよ。それを見るたびに毎回感動して。ああ、なんかこう、そういう血が流れてんのかなって。侍魂じゃないけど、そういうのって今のぼくたちにも少し流れているような気がするんですよ」
―なぜ、そこまでやられるんですか?
「本物の方たちに少しでも近づきたいんですよね。また、それをしっかりやってると舞台ににじみ出てくるんです。お客さんには、本物の軍人さんが出てきたかと思ったってよく言われます。まるでドキュメントを見ているような感じになる。そんな本物志向なところに、ぼくはとても惹かれました」
―戦後80年の節目での上演で、題材的にもイデオロギー的すぎると批判される人もいるかと思います。
「もし、そんなところが少しでも感じ取れたら、ぼくはここまで夢中にならなかったと思います。実は鳥濱トメさんはアメリカに占領されてからはアメリカ兵の若い子の世話もするんです。さすがに最初は拒んでいたんですけど、徐々に彼らを理解していく。この子たちは別に悪くない。一人一人見たらいい子たちじゃないか。みんな来たくて来てるわけじゃないっていう境地に達するんです。その後、アメリカ兵たちの面倒を見て、アメリカ兵たちからもMotherになるんです。だから、このタイトルなんです。そんな普遍性があるからこそ、ぼくは続けてきました。何か偏った作品になっていたら、のめり込んでないですね」
―兵隊さんたちは誰も戦うことを望んでいなかった…。
「そう。残念ながら今もウクライナであったりとか、イスラエルであったりとか、そういうのは延々と続いています。そういうところに訴えかけるような作品にしたい。これを毎年1回でも絶え間なく続けていくことで、戦争のない世の中を作ることの一端になってくれれば。僕は真剣にそう思っているし、それを信じてます」=(2)に続く
◇ワッキー(わっきー)1972年(昭47)7月5日生まれ。北海道釧路市出身の52歳。父親の転勤で関東に移り、市立船橋高校のサッカー部で活躍。インターハイ優勝、全国選手権大会にも出場した。サッカー部先輩のヒデと94年にコンビ「ペナルティ」を結成。独特のギャグセンスと圧倒的な運動神経でテレビの人気者となった。20年に中咽頭がんを発症したが、克服。現在も精力的に芸能活動を行っている。
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