豊島九段 藤井王将挑戦へ4連勝が条件の初戦白星 王将リーグ服部戦「目の前の一局、局面に集中」

[ 2022年11月11日 19:49 ]

<王将線挑戦者決定戦>感想戦で対局を振り返る豊島九段(撮影・井垣 忠夫)
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 将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグは11日、東西の将棋会館で2局を行い、大阪では豊島将之九段(32)が服部慎一郎五段(23)に113手で勝利した。豊島は3勝1敗、服部は1勝4敗とし、服部のリーグ陥落が決まった。

 戦型は角換わり腰掛け銀になり8月、豊島が藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖を含む5冠=に敗れた王位戦第4局と50手目まで先後逆にして同じ進行になった。先手豊島が3段目への王上がりではなく、▲5五歩と天王山へ歩を伸ばして前例を離れ、53手目▲5六角を配置して服部陣の左右をにらむ好形を築いた。

 終局後、豊島は「▲5六角に(54手目)△6三角と受けたときの角の働きの差を主張できればと思った」と構想を明かした。力強く右金を前線へ送り出して形勢をたぐり寄せると、角金銀交換でさらに手駒をそろえた。

 86手目、服部に飛車桂獲りでかつ、自王の脇腹をかすめる△5六角で迫られたが、この瞬間を逃さず▲3三歩の王手。さらに▲5三歩成と勝負を決めにいった。

 「読み抜けがあったら逆転してしまう。微妙かなと思いましたが…」。結果的にこの踏み込みが果断だった。飛車を失ったが91手目▲4二金、さらに▲1四歩の2手で鮮やかに服部王への包囲網を築き、97手目▲4一銀で優勢を自覚したという。

 藤井への挑戦権争いは羽生善治九段(52)が5勝で単独トップを走り、他に可能性を残すのは豊島のみ。第67期以来5期ぶりの挑戦権獲得へ15日は渡辺明名人(38)=棋王との2冠=、22日は羽生を倒して連勝し、さらに5勝1敗で相星になる羽生とのプレーオフを制する必要がある。

 「挑戦は難しく厳しい状況ですが、目の前の一局、局面に集中して指したい」とまずは4日後の渡辺戦へ目を向けた。

《服部五段は陥落決定》
 豊島に敗れた服部は1勝4敗でリーグからの陥落が決まった。8一飛を62手目△5一飛、66手目△8一飛と戦果なく往復させた選択について、「王と飛車が近い。先に逃げた方が…と思ったが(67手目)▲4五歩と突かれてしびれてしまった」と反省した。棋士の最低段位・四段のリーグ入りは第66期の近藤誠也七段(26)以来6期ぶり4人目。初戦の後、五段へ昇段したが新風をリーグに吹き込んでいる。「陥落は残念ですが最後に1局ある。全力で戦いたい」。初対戦となる22日の永瀬拓矢王座戦を見据えた。

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