チャーリー・ワッツさん死去、80歳 ローリング・ストーンズ支えた名ドラマー

[ 2021年8月26日 05:30 ]

ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のドラマー、チャーリー・ワッツさん
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 英の世界的ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のオリジナルメンバーでドラマーのチャーリー・ワッツさんが24日、ロンドンの病院で死去した。80歳。死因は不明。不良のイメージが定着したバンドでは異色の紳士的なルックスと成熟した演奏で「ストーンズの心拍」と呼ばれ、1963年のデビューから半世紀以上にわたり第一線に君臨してきたバンドの屋台骨を支えてきた。

 今も転がり続ける怪物バンドを支える、縁の下の力持ちの突然の訃報。世界に激震が走った。ストーンズが来月26日から予定していた米ツアーへの参加を手術の影響で取りやめることを5日に発表。回復を目指すとコメントしたばかりだった。代理人は声明で「家族に囲まれ安らかに亡くなった」と発表した。2004年の喉頭がんなど、たびたび病魔や体調不良に見舞われたが、その都度復帰しライブで元気な姿を見せていた。

 ストーンズの「二枚看板」もそれぞれSNSに写真を公開し悲嘆に暮れた。ボーカルのミック・ジャガー(78)は笑顔でドラムを叩くワッツさんの写真を投稿。ギターのキース・リチャーズ(77)は無人のドラムセットに「CLOSED(閉店)」と書かれたプレートがかけられた写真を公開した。

 1941年、ロンドン生まれ。モダンジャズの黄金期だった少年時代にジャズに接し、ジェリー・マリガンの曲「ウォーキング・シューズ」でドラムを叩いたチコ・ハミルトンの演奏に感動し、13歳でドラムを始めた。

 10代から町のクラブやパブで演奏。広告会社でグラフィックデザイナーとして勤めながら、週末にさまざまなバンドでプレーしていたところをミックやキースに誘われ加入した。初期のストーンズはブルース音楽に傾倒していたが、ジャズの影響を受けた独特な奏法で存在感を発揮した。

 性格は物静かで実直そのもの。ツアー前の会見などでは年下にいじられて、機知に富んだコメントを返すおちゃめさもあった。70年代、キースを筆頭にバンドが薬物漬けになった時も手を出さず。ツアーで女性ファンに手を出すこともなく、64年に結婚したシャーリー夫人と初婚を貫いた。家族と離れるのが寂しくて、ツアー中に泣いたこともある。

 ミックとキースの確執でバンドが崩壊危機だった80年代半ばには薬物や酒に溺れたことも。腕っ節も強く、当時、ミックに電話で「俺のドラマーはいるかい?」と呼び出されたことに激高。「二度と“俺の”なんて言うんじゃないぞ」と一発KOした逸話もある。

 「演奏をやめたいとは思わない。やめて老けるのが怖いんだ。これからもずっと俺たちはどこかで演奏してるよ」と生前に語っていたワッツさん。損失は計り知れない。

 ◆チャーリー・ワッツ 1941年6月2日生まれ、ロンドン出身。62年に結成された「ローリン・ストーン」(当時)に翌63年に加入。「ホンキートンク・ウィメン」などのドラミングで名を上げる。01年には「チャーリー・ワッツ・アンド・ザ・テンテット」として来日公演も開催。米ローリング・ストーン誌の選ぶ「歴史上最も偉大な100人のドラマー」(16年発表)で12位。

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2021年8月26日のニュース