朝ドラ「エール」 松井玲奈のほどよいスパイス感

[ 2020年4月30日 12:30 ]

NHK連続テレビ小説「エール」で吟を演じる松井玲奈(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】女優の松井玲奈がNHK連続テレビ小説「エール」で、ヒロインの音(二階堂ふみ)の姉・吟を演じている。

 音と絡む場面が多く、27日の放送では、食卓での姉妹げんかが高じ、おかずの奪い合いに発展。音が、あじフライを盗んで逃げると、玄関の外まで追い掛けて、もみ合いになる。この時の鬼気迫る表情が絶品。演技のうまい二階堂と画面上で真っ向勝負できている印象だ。29日の放送では、音が主人公の裕一(窪田正孝)からプロポーズされたのを耳にして「先を越されたわ」と大ショックの表情。はいつくばりながら階段を上ろうとする姿が実にコミカルだった。松井はこのドラマのほどよいスパイスになっていると思う。

 とても興味深い女優である。SKE48時代から何度もインタビューし、たくさん記事を書かせてもらったが、独特の個性があった。多くの人はインタビューの回を重ねると少しは気を許し、何かしら本心(結果的にオフレコになるような話)を明かすものだが、彼女はそういうことが一切なかった。ある時、本人に「松井さんほど本音を聞き出すのが難しい人はいない」と話すと、「本当にごめんなさい。私は、あまのじゃくなんです」とほほえんだ。そして、「でも、ほかの人を見ていると、分からないところがある人の方が面白いと思ったりもします。自分が知らない一面がふと見えた瞬間に『この人にはこんなところもあるんだ!?』と魅力を感じる。それを意識して私はやっているわけじゃないんですけど…」と語った。この会話の時、松井の魅力の根幹に触れた気がした。それは「神秘性」と言うべきものだろうか。「エール」には、その一端がスパイスとして生かされているのだと思う。

 2015年にSKEを卒業する時、その理由を「自分が本当にやりたいお芝居の道を進みたい」と語っていた。その言葉通り、ここまで女優の道を着実に歩んできた。現在は「エール」だけではなく、テレビ東京のドラマ「浦安鉄筋家族」に出演中で、さらに5月4日からテレビ東京のドラマ「行列の女神~らーめん才遊記~」に登場する。

 かつて女優業について「まず30歳までに何か一つ自分の旗になるようなものを作りたい。そこからまた10年かけて、根強くいろんな作品に出してもらえるような役者さんになりたい。おばあちゃんになってもお芝居ができたら幸せ」と語っていた。その夢は、現実味を帯びてきた。

 また時を見てじっくりインタビューしてみたい。本心はなかなか明かしてくれないかもしれないけれど。


 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在はNHKなど放送局を担当。

続きを表示

「美脚」特集記事

「竹内結子」特集記事

2020年4月30日のニュース