横尾忠則さん個展延期 職員30分遅刻に「創作意欲失われた」

[ 2018年9月20日 05:30 ]

横尾忠則さん
Photo By 共同

 兵庫県西脇市の西脇市岡之山美術館で今月下旬から予定されていた美術家横尾忠則さん(82)の特別展が開催延期になっていることが19日、分かった。作品の制作日に素材を提供する職員らが約30分遅刻し、横尾さんが立腹。作品は現在も出来上がっておらず、新たな開催時期は未定となっている。美術館によると、地元をモチーフにした作品などを集めた特別展「横尾忠則 西脇幻想展」は、今月28日から来年3月24日まで開催される予定だった。

 トラブルが発生したのは8月29日。横尾さんは同県多可町の「杉原紙研究所」で和紙を使った作品を制作する予定だった。ところが午前10時前に研究所に到着後、さっそく制作に取りかかろうとしたものの、素材が届いていなかった。

 素材運搬役の美術館職員ら3人は同9時30分ごろに約20キロ離れた美術館から車で出発。通常なら30分ほどの道のりだったが、この日は交通事情の影響で同10時15分ごろに到着。待たされた横尾さんは「創作意欲が失われた」として滞在先の市内のホテルに引き揚げた。

 その後も横尾さんの多忙なスケジュールなどもあり作品制作は進まず。今月14日、西脇市教育長が横尾さんに面会して延期の意向を伝え、了承を得た。

 横尾さんは西脇市出身で、1984年に開館した同美術館で2012年まで毎年、企画展を開催。今回の特別展は6年ぶりの開催とあって、地元ファンの期待も高まっていた。美術館の担当者は「先生の制作意欲をそいでしまった」と平謝り。特別展開催に向けて「全力で対処していきたい」としている。

 ◆横尾 忠則(よこお・ただのり)1936年(昭11)6月27日生まれ、兵庫県西脇市出身の82歳。グラフィックデザイナーとして活躍し、60年代後半から70年代にビートルズやアース・ウインド&ファイアーといった大物アーティストのポスターやレコードジャケットを次々と手掛け、世界的に高い評価を得る。72年にはニューヨーク近代美術館で個展を開催。81年に画家に転向。紫綬褒章、旭日小綬章ほか受章、受賞は多数。

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