「半分、青い。」キムラ緑子“怪演”反響も「個性ない 毎回必死」転機の「ごちそうさん」に感謝

[ 2018年7月31日 10:30 ]

連続テレビ小説「半分、青い。」で怪しげな関西弁を操る光江役を“怪演”し、反響を呼んでいるキムラ緑子(C)NHK
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 女優のキムラ緑子(56)がNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(月〜土曜前8・00)にレギュラー出演。怪しげな関西弁を操ったかと思えば、吉本新喜劇顔負けのズッコケぶりを披露し、絶大な存在感を発揮。視聴者を魅了し、新章「人生・怒涛編」を牽引している。日本の演劇界を支える1人だが、2013年後期「ごちそうさん」の小姑役で映像の世界でも一躍ブレイクし「人生が変わりました」と転機に。約5年ぶりの朝ドラ出演は「相当喜びました」というが、北川悦吏子氏(56)の独特の脚本と格闘した。反響を呼ぶ“怪演”の舞台裏、“カメレオン女優”と呼ばれることや女優生活35周年を迎える心境を聞いた。

 「人生・怒涛編」は第82話(7月5日)からスタート。1999年秋、漫画家をやめ、師匠・秋風(豊川悦司)の元を去ったヒロイン・鈴愛(永野芽郁)は100円ショップ「大納言」のアルバイトに。映画監督の卵・涼次(間宮祥太朗)と出会い、たった6日後にプロポーズされてOK。結婚後は2年間、大納言で汗を流して倹約しながら、脚本執筆に励む“だめんず夫”を支えるなど、文字通り、怒涛の人生を歩んでいる。

 キムラが演じるのは大納言のオーナー三姉妹にして、涼次の叔母、通称“三オバ”の1人、藤村光江役。亡父から継いだオーダーメイドの帽子店「3月うさぎ」を100円ショップにしたことに割り切れない思いを抱いている。亡き長姉・繭子の息子である涼次を本当の息子のように溺愛している。

 「まみむめも、なんですわ。繭子の『ま』、光江の『み』、麦の『む』、めありの『め』。まみむめ…本当はね、もう1人行こう思うたんやろうけど、さすがにね。フフフフフ」(第94話、7月19日)、「あんさんのロミオはボンクラやで〜。フフフフフ」(第95話、7月20日)など、光江の“エセ関西弁”の独特の言い回し、イントネーション、テンポが視聴者の笑いを誘っている。

 オンエア上はそうは見えないが、キムラは「光江の髪形も格好もあんなふうに変わっていますし、“エセ感”を全開にすると、少ししつこいし、光江の要素が余分に1個多くなるかなと思いました。なので、私は兵庫県出身ですが、台本通りにしゃべっています」。演出から「もう少しニセっぽく」のオーダーもなかったため、大袈裟にはしていない。

 北川脚本は初体験。台本を読んだ第一印象は「凄くリズム感があると思いました。セリフのテンポが非常によく、音楽みたいに読めました」。北川氏はト書き(セリフの間に書かれた俳優の動きや演出などの説明・指定文)も独特で「ゲラゲラ笑いながら、読みました」。例えば、そうめんを食べるシーン。第82話(7月5日)は麦(麻生祐未)が「無言で、ズズズッと食べている」。第95話(7月29日)は鈴愛が「ズゾゾゾゾゾーッと食べていて」と書かれている。

 キムラは、そうめんが口から縦に滝のよう流れているストップモーション、漫画の1コマをイメージ。「おもしろいと思ったのと同時に、これを人間がやるのはむっちゃ難しいなと思いました。編集でダダダッとシーンを切って『アップ、アップ、アップ』と人の顔をつなぐようなテンポ。最初は2・5次元の芝居をやるようなイメージでしたが、実際には結構リアルに撮影したので『うぬぬ?』『そのリアル感かぁ』と。本のおもしろさを何とか体現したいと思いましたが、私自身はジタバタしていた感じです」と百戦錬磨のキムラをして格闘。同時に、2次元の漫画的に読めた台本を3次元の実写にした時の「ギャップもおもしろかったですね。めくるめくテンポ。一度、北川さんとお話ししてみたいです」と振り返った。

 そして「北川さんは手練手管の方だから『次、どうやったら視聴者の皆さんを裏切れるか』という凄いことに挑戦されているんじゃないかと思います」と称賛。「あまりにも展開が早く『鈴愛ちゃん、最後、どこに行くんだろう?』と不安になる感じ。そのフラフラ感が、この作品の魅力だと思います」と分析した。

 「途中、茶々を入れたくなるかもしれませんが、本も読み終わった時の方が、感想がどっと押し寄せるじゃないですか。『人生、大きな目で見なさい』という感じ。このドラマは人生そのもの。これは凄いなと。例えば、恋愛をするとしましょうな。相手の人が自分と出会う前に、どんな人と付き合っていたか分からないで出会うわけじゃないですか。ドラマは“その前”から描かれてますが、私は“ここ”から出会うわけで。鈴愛ちゃんの漫画家時代と、私たちと一緒のシーンがあまりにも違いますが『人生って、こういうことなんだな』と、つくづく思いました」

 自身の役割は、ヒロインの人生の通過点。「鈴愛ちゃんにすれば、あんな人たちもいたなと。嵐みたいなもの。三オバの物語なら違うんですが、あくまでヒロインが出会った人たちなので。何もやらず、何も事を得ず、嵐のように過ぎ去っていきたいので、ここを見てほしいというアピールはありません。いい嵐であってほしいですね」と豪快に笑った。

 朝ドラ出演は13年後期「ごちそうさん」に続き、5作目。「ごちそうさん」はヒロイン・め以子(杏)の義姉・西門和枝を好演。その極端な“いけず”ぶり、いびり役が大きな注目を集めた。

 自身のターニングポイントの作品と位置付け「バラエティー番組にも呼んでいただくようになって『私のことなんか1時間も話をしていいんですか?私なんかに興味あるんですか?』と不思議な気持ち。人生が変わりました」と朝ドラがお茶の間に与えるインパクトや影響の大きさを痛感。「『ああ、凄い作品に出演していたんだな』と、ありがたかったです。朝ドラからオファーがあるんだったら、どんな役でも演じたいです」と感謝した。

 共演の間宮からは演技の引き出しの多さを「四次元ポケット」と例えられ、多彩なキャラクターに染まる演技力から「カメレオン女優」の異名も持つ。本人は「全然違うと思います。皆さん、そう言うしかないから、言っていただいているんですよ〜。本当にすみませんという感じです」と照れ笑い。「違う人物になるのが職業だから、役者はみんなそうだと思います。私には敢えて個性もないから、そういう言い方になっているんじゃないですか。毎回毎回、必死にやっているだけです」と謙遜した。

 1984年に旗揚げし、10年の解散まで人気を誇った「劇団M.O.P」の看板女優。来年は女優生活35周年を迎えるが「性格的に、自分が嫌なことはあまりしないので、人間みんなそうだと思いますが、自分が一番好きなことを選んでいるうちに、自分が行き着くところに行き着くんだろうなと。一生懸命やっていれば、どこかに導かれていくんだと信じています」と自然体。「今はたぶん自分が一番役者に自信を持てているから続けていると思うんですが、本当に無理だと思ったら俳優を辞めると思うし、こんな歳でも全く違う世界に行ける、どこからでもスタートできると私は思っています」と持論を展開した。

 今後の女優業については「いい役をやりたいです」と自ら爆笑。「いい役とは何ぞや、ですけどね。役者は自分から発信できないので(企画側に)この人とやってみたいと思われないといけない。そういう機会に巡り会えることが、実力なんですかね。運という言い方もありますが、役をもらえる人は実力があるんです。私も頑張ります」。次は舞台「喜劇 有頂天団地」(12月1〜22日、東京・新橋演舞場)が控える。さらなるカメレオンぶりに磨きがかかる。

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