飛行機からの落とし物 “万が一”がないよう望まれる十分な対策

[ 2017年10月14日 10:22 ]

 どこかから看板が飛んできたと思ったら、飛行機の部品だった――。9月23日の白昼、大阪市中心部の国道1号を走行していた乗用車を、重さ約4・3キロのパネルが直撃する事故が発生した。幸い車に乗っていた女性2人にケガはなかったものの“あわや”の事故だった。

 この落下物は、関西空港を離陸したオランダ・アムステルダム行きのKLMオランダ航空機の部品。縦0・6メートル、横1メートルのパネルが直撃した車は屋根がへこみ、窓ガラスが割れるなどした。

 航空機から部品が落下するトラブルは一体、どのくらい起きているのか。国土交通省によると、日本の航空機の場合、脱落した部品が(1)面積100平方センチ以上(2)重さ200グラム以上の非金属(3)金属部分が100グラム以上――といった基準に該当すれば、運航者は国交省に報告する必要がある。09年4月〜16年10月にあった報告は437件で、年平均50件以上だった。ただ、基準に満たない小さな部品がもっと落ちている可能性もある。

 成田空港のある千葉県成田市に住む知人は「人的被害はなく、大騒ぎにはなっていないけど、珍しい話じゃない」という。8月には千葉県成田市の成田空港A滑走路北側の飛行コース直下にある民家で、屋根瓦の破損した。部品などが見つからなかったため、航空機からの落下物と認定されていないが、この民家近くには、昨年2月に、航空機からの氷塊の落下が確認されている。

 国交省は、訪日外国人が増えることが見込まれる2020年の東京五輪・パラリンピックまでに、羽田空港発着の国際線を増便するため都心上空を通る新ルートを導入することを決めている。国際線の年間発着回数は、今の9万回から最大12万回に増える見通しで、落下物による被害が相次ぐ懸念がある。同省は、機体や整備状況を確認する国の職員を増員したり、検査にかける時間や頻度を増やしたりする方針だが、“万が一”が発生しないよう十分な対策が望まれるところだ。

続きを表示

2017年10月14日のニュース