豊洲市場問題 専門家会議から消えた野次 都と市場関係者がようやく…

[ 2016年11月17日 09:00 ]

 11日に行われた豊洲市場の土壌汚染対策を検討する第2回専門家会議である変化が生まれていた。それは都庁の担当職員の姿勢。彼らは傍聴に訪れた築地市場関係者から質問を受けた時、相手の目を見て答えるようになっていた。

 1カ月前に開かれた第1回の会議は散々だった。市場関係者から「盛り土をすると言ってしなかった東京都を全く信用できない」など厳しく言われ、膨大な資料と難解な説明のオンパレードに場内は「もういいよ」「全然わかんない」と怒号まで飛んだ。職員もうつむきがちで相手の質問にも、下を向きながらボソボソと答える姿が目立った。

 それを反省点にあげたのが平田健正座長。第2回の会議に臨むにあたって「前を向いてわかりやすい言葉で話すように注意した」という。

 実際に第2回の会議では職員の姿勢に変化が見られた。前を向いて話し、専門用語を自分の言葉で説明しているような印象だった。どの資料を説明しているか把握できるように会場にはモニターも用意されて、市場関係者に向けての理解が進むような工夫がなされていた。「やっぱり難しすぎてよくわからない」という声が市場関係者からは上がったものの野次は消えた。質問も土壌汚染対策に対して踏み込んだ内容になっていた。

 水産仲卸業者の男性は「豊洲移転が決まる前から何度、疑問に対して説明を求めても、話を聞いてくれと言っても職員は耳を貸してくれなかった」と不満を漏らす。築地市場には各団体の組織があり、その代表が集まって都と意見交換が進められてきたというものの、現場で働く人々の多くは「いま豊洲市場がどうなっているかわからない」状態が続いていた。

 都への不信感の根幹には対話の不足があったように思う。移転延期や盛り土問題などを経て、都と市場関係者はようやく向き合い始めた。

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2016年11月17日のニュース