“AKBの壇蜜”の見出しの裏側 藤田奈那じゃんけんVに震えた記者

[ 2015年9月21日 11:30 ]

じゃんけん女王の藤田奈那

 16日に開かれたAKB48のじゃんけん大会。優勝した藤田奈那(18)の取材を進めている時に、会社から電話がかかってきた。

 「藤田って子は何か苦労人の顔をしているな。そして妙に色気も感じる。そこら辺のネタ頼んだぞ、ヨロシク」

 電話が切れて頭を抱えてしまった。総監督の高橋みなみ(24)は万年総選挙で圏外の藤田の優勝を「久しぶりに震えた」と涙で祝福したが、記者にとっては別の意味で震えた。世間にとっては「顔も名前も知らないAKBの子」。失礼ながら、彼女の記事を書いたことはそれまで一度も無かった。

 藤田のキャラクターとは一体何なのか。締め切りまで約1時間半。記事を書く時間を逆算すると取材時間は30分ほど。会場にいた関係者へ藤田のことを聞いて回った。「劇場を支える苦労人」とは言うものの、具体的なエピソードはなかなか出てこない。締め切りが迫る中、助けてくれたのは「壇蜜」だった。

 きっかけは、AKBグループを知り尽くすライターとの雑談。「ファンの間で壇蜜に似ていると言われていてさ、2年前には総選挙のポスターも真似て作ったんだよね。でも顔よりも、本当に俺が似てると思うのは声なんだよね」とのことだった。

 大会終了後の藤田の記者会見。スマホで画像を表示した壇蜜と見比べると、確かに雰囲気が似ている。目を閉じると、声色も近い感じだ。体のラインがしっかり出た客室乗務員の衣装が、にじみ出る色気を増幅させた。ネタは決まった。

 早速会社へ「“AKBの壇蜜”でどうですか」と打診すると、デスクは「オッケー、それでいこう」とゴーサイン。2013年に藤田が撮影した壇蜜風「なぁ蜜」のポスター画像も運営側から提供してもらい、記事を出稿。翌日の紙面には「超伏兵18歳“AKBの壇蜜”じゃんけん制覇」の見出しが躍った。

 ちなみに藤田本人はセクシー路線には後ろ向き。壇蜜似と言われることについて「私なんかが壇蜜さんに似ていると言われるなんて恐れ多いです」と謙そんする。選抜メンバーがホームの秋葉原の劇場を空けることが多くなった中、コツコツとホームを守っている苦労人。浮き足立たずに真面目に徹してきた姿を、勝利の女神は見ていたのだろう。

 影のMVPを挙げたいのはNMB48の山本彩(22)。初戦で敗退したあとの姿が光ったからだ。敗者席に座ったメンバーは完全にオフモード。これに対し山本は、じゃんけんをあおる「オー、オー、オー」という客席の掛け声に合わせて、両腕を手前から前方に振り上げるオタ芸「ケチャ」で仲間を鼓舞していた。どういう環境であれ、手を抜かず自分がやれることをやる。AKBグループの握手会で一番人気の理由が垣間見えた。

続きを表示

2015年9月21日のニュース