来日中のジミー・ペイジが喜んだ「楽しい質問」の内容は…

[ 2015年8月2日 11:00 ]

今回の来日で44年ぶりに広島市の平和記念公園を訪れたジミー・ペイジ

 1960~70年代にハードロックの頂点を極めた英バンド「レッド・ツェッペリン」のリーダーでギタリストのジミー・ペイジ(71)が来日した。44年ぶりとなった広島訪問の模様は既報済みなので、この間の裏話やこぼれ話を紹介――。

 来日したのは今月26日。昨年10月以来の日本についての印象は「何て暑いんだ」。日本訪問は14度目だが、夏期(6~7月)は初めて。高温多湿の気候を実感し、「飛行機から一歩出た瞬間から気分が変わった。凄い暑さを感じて汗がドッと出ちゃったよ」と苦笑した。

 翌27日はオフで時差ボケを調整したもよう。28日にはスポニチのインタビューに応じてくれた。

 そもそも今回の来日目的は、31日に発売されるリマスタリングシリーズの旧作アルバム3作のプロモーション。76年の「プレゼンス」については38年経った今も相当な自信を見せ、「メンバー4人が全力を出し尽くしていてとても満足。こんな作品を、たった3週間で作り上げてしまったんだ」と自画自賛。

 特に1曲目「アキレス最後の戦い」は「凄く複雑で、演奏時間も長いのに、どのパートもほぼ1回のテイクで録音しきった。それでいて今聴いても、この曲を聴き終えると、自分たちの演奏に対する勝利を感じるんだ。演奏前から、どこに焦点を当ててプレイし、録音に臨むべきかがみえていたんだよ」と明かした。

 79年の「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」はデザイン違いのジャケットが6種類あることで話題に。このアイデアについては「例えば今、僕と君、通訳の方の計3人がそれぞれ1台ずつカメラで双方を撮影し合ったとしよう。同じ空間に居て三者三様の写真が撮れるだろう。物事の見え方っていうのはそういうものなんだ、という意味を込めたんだ」と解説した。
 インタビューは昨年10月以来。当時の詳報は、火曜日(同月21日)付け本紙終面「CUT IN」に掲載した。9カ月ぶりの再会に、社交辞令だろうとは思うが、「よく覚えているよ。楽しい会話だった」と振り返ってくれた。こちらも「あの時の対話に刺激を受けて、押し入れにしまっていたエレキギターを再び弾き始めたんです。最近、25年ぶりに大勢の人前で1曲だけ演奏する機会があったんですが、伴奏が始まったとたん、緊張のあまり右手が震えてしまい、うまく弾けなかった。どうしたら、堂々と弾けるようになりますかね?」と助言を求めてみた。すると…。

 「君、本当に楽しい質問をするね。いいかい、その演奏、もう1回試してみて。必ず、もう1回。次はうまくいくから」。こう語るとニヤリ。続けて「では君、両手を広げてみて」と語りかけてきた後、広げた記者の両手にジミー・ペイジは自身の掌を重ね合わせてきた。そして「さぁ、これで注入できた。次は必ず上手に弾けるから」と親指を突き立てた。

 実はこの話、オチもある。なんて、いい人なんだろうと感激して「自信がついた気がします。次、うまく弾けそうです。“アキレス最後の戦い”に挑戦してみます」と声を弾ませると、「それはやめた方がいい。その曲は難しいぞ」。真顔で言い返す姿に、ツェッペリンに対する自信と誇りを感じずにはいられなかった。

続きを表示

この記事のフォト

2015年8月2日のニュース