三津五郎 4月歌舞伎座公演で復帰 長男の巳之助が共演

[ 2014年1月18日 05:30 ]

昨年10月2日、初期のすい臓がんであったことを報告する坂東三津五郎

 昨年9月にすい臓がんの切除手術を受け静養中の歌舞伎俳優・坂東三津五郎(57)が4月の歌舞伎座公演で復帰すると17日、松竹が発表した。すでに自身が家元を務める舞踊公演には出演しているが、本格的な1カ月歌舞伎公演は昨年8月以来。人気俳優の死去、体調不良による休演が相次ぐ歌舞伎界に届いた明るいニュース。ファンも「舞台がまた華やかになる」などと喜んでいる。

 三津五郎が出演するのは、「四月大歌舞伎」(2~26日)の昼の部公演の「壽靱猿(ことぶきうつぼざる)」。陽気な舞踊劇で、三津五郎は主人公の猿使いを演じる。本格的な1カ月公演は、昨年8月、歌舞伎座での「八月納涼歌舞伎」以来となる。長男の巳之助(24)が共演する。

 三津五郎は昨年8月、公演中に体調不良を訴えて、千秋楽まで出演した後、都内の病院に入院。すい臓がんと判明し、9月に切除手術を受けた。10月には退院し、その足で報告会見。「術後の経過も良好で、体調も全く悪くない」と元気に語っていた。

 その後、しばらくは自宅で静養。ただ“芝居の虫”がうずいたようで、初冬には、自身が家元を務める日本舞踊坂東流の弟子に指導を開始。12月には都内で開催された坂東流の公演で“舞台復帰”した。また昨年末には、中村勘九郎(32)主演で上演中の舞台「真田十勇士」(青山劇場)のナレーション収録も行った。また来月15、16日には「第57回日本舞踊協会公演」(国立劇場)にも出演予定。歌舞伎関係者は「以前のように元気で、いきいきとしている。1カ月興行ができる体力が戻ったということ」と話した。

 歌舞伎界では、おととし12月には中村勘三郎さん、昨年2月には市川団十郎さんと、人気俳優が相次いで他界。同10月には片岡仁左衛門(69)が右肩腱断裂の手術で、同11月には七代目中村歌右衛門襲名を控えていた中村福助(53)が脳内出血による筋力低下で休演と、幹部俳優の長期離脱が続いている。そんな中で、三津五郎の復帰は久々に明るいニュース。松竹は3、4月公演を新装歌舞伎座1周年の記念興行と位置づけ、劇場の座紋にちなんだ「鳳凰(ほうおう)祭」と名付けた。三津五郎の舞台復帰は華やかな公演に、さらに花を添えることになりそうだ。

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2014年1月18日のニュース