長門勇さん 老衰で死去 「おえりゃあせんのう」が流行語に

[ 2013年6月6日 06:00 ]

亡くなった長門勇さん

 テレビドラマ「三匹の侍」や横溝正史原作ドラマなどでの軽妙な演技で知られた俳優の長門勇(ながと・いさむ、本名平賀湧=ひらが・いさむ)さんが4日、老衰のため神奈川県内の病院で死去した。81歳。岡山県出身。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。

 所属事務所によると、長門さんは昨年、脳梗塞を患った後、病院に入院していた。同3月にTBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」に出演したのが最後の仕事になったという。

 高校を中退して上京。浅草の劇場でコントや寸劇を披露し、故渥美清さんらとしのぎを削りながら修業を積んだ。転機になったのは、60年代に大ヒットしたフジテレビの時代劇「三匹の侍」。主役の一人に抜てきされ、丹波哲郎さんや平幹二朗(79)と共演。外見はむさ苦しいが、やりの達人で人が良い、とぼけた浪人をユーモラスに演じ、人気を集めた。

 コメディー現代劇「スチャラカ社員」(テレビ朝日系)で演じた部長役では、岡山弁の「おえりゃあせんのう」が流行語に。どっしりとした風貌を生かして、ひょうきんさと鋭さを併せ持つ役柄を多くこなした。

 「悪魔の手毬唄」など横溝正史原作ドラマにも出演し、金田一耕助とコンビを組む警部役も好評な名バイプレーヤーだった。日本喜劇人協会参与を務め、浅草の大衆芸能の活性化にも意欲的に取り組んでいた。

 ◆長門 勇(ながと・いさむ、本名平賀湧=ひらが・いさむ)。1932年(昭7)1月1日、岡山県出身。47年、地方回りの「高尾光子一座」に入団。ロック座、フランス座など劇場に出演し、テレビ「てなもんや三度笠」「水戸黄門」などで活躍。NHK大河「武蔵 MUSASHI」にも出演。映画も「悪名シリーズ」「道場破り」「いも侍・蟹右衛門」など多数。

 ▼平幹二朗(「三匹の侍」で共演)「三匹」のうち丹波哲郎さんだけがスターで、僕と長門さんは若手だったが、放送翌日から街で振り向かれるようになった。ユニークな風貌の長門さんは、いろいろな映画にも出て活躍された。ご冥福をお祈りしたい。一緒に世の中に出た友として。

 ▼沢田隆治氏(「スチャラカ社員」のプロデューサー)浅草を愛したコメディアンで、ユーモラスな雰囲気を生かした時代劇スターだった。岡山弁の話し言葉が印象的で、晩年もテレビで見かけるたびに感慨深い気持ちになった。

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2013年6月6日のニュース