映画「ひろしま」資料発見 故熊井啓監督ノートも

[ 2013年5月4日 18:50 ]

セットの絵などが描かれている映画「ひろしま」の資料

 「海と毒薬」などで知られる社会派の映画監督、故熊井啓さん(2007年死去)が、プロとして初めて制作に関わった「ひろしま」(1953年)の撮影時に記録したノートやスケジュール表などの資料約200点が、東京都調布市の自宅でこのほど見つかった。

 「ひろしま」は関川秀雄監督の作品で、被爆した少年少女の手記集「原爆の子」が原案。広島市民延べ約9万人がエキストラとして参加し、原爆投下直後の市街地の惨状や後遺症に苦しむ被爆者の様子を描いた。熊井さんは大学卒業後すぐに助監督として参加した。

 今年1月、熊井さんの妻で作家の明子さん(72)が書庫の遺品を整理中に山積みになった資料の中から発見した。茶封筒にシナリオなどと一緒に1冊のB5判ノートがあり、衣装のメモやオープンセットの鉛筆画、カメラの位置を示した図面などが細かく描かれていた。

 各地で「ひろしま」の上映に取り組む東京都狛江市の映画プロデューサー小林一平さん(66)が、明子さんに資料を借り受け、上映会場で展示する予定。小林さんは「熊井さんの映画作りへの意気込みが伝わってくる貴重な資料だ」としている。

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2013年5月4日のニュース