清志郎さん未発表曲 命日翌日発売 70年代初期のライブ ファンが音源保存

[ 2013年4月29日 06:29 ]

70年代初期の未発表曲が発掘されたRCサクセション。左から破廉ケンチ、忌野清志郎、林子和生

 09年に他界したロック歌手、忌野清志郎さんが率いた「RCサクセション」の70年代初期のライブ音源が見つかった。東京・渋谷にあった音楽喫茶「青い森」などでの演奏がカセットテープで録音されていたもので、幻の未発表曲が7作品あった。発掘された音源21曲を収録したアルバム「悲しいことばっかり」が、清志郎さんの命日翌日の来月3日に発売される。

 貴重な音源を保存していたのはデビュー当時からのファンの太田和彦さん(67)。72~73年に渋谷にあった小劇場「ジァンジァン」や「青い森」などに熱心に足を運び、風呂敷包みに隠したラジカセを持ち込んでRCのライブを録音した。

 清志郎さんの死後、バンド黎明(れいめい)期の貴重な音源を「このまま眠らせておいてはいけないと使命感に襲われた」という太田さん。録音していた約40本のカセットテープを清志郎さんの個人事務所に託したことで、世に出ることになった。

 アルバムに収録される未発表曲は、表題曲「悲しいことばっかり」をはじめ、母親にささげて書き下ろした「黄色いお月様」など計7曲。ほかも、RCとしては初の音源化となる「あそび」など貴重なものばかり。清志郎さんの若く伸びやかで粘りのあるシャウトは鮮烈で、メンバー2人の奔放な演奏は驚くほどスリリングだ。当時の情緒的なフォークソングと一線を画したバンドであったことが分かる作品になっている。

 ライブ盤らしく、ユニークなトークも収録。清志郎さんが「あそび」の歌詞がレコード制作基準倫理委員会(レコ倫)の規定に引っかかったことを紹介し、「“あの娘と遊びでやったのさ”という歌詞を入れたら発売禁止だと。日本の風俗、伝統、モラルが変わらない限り、この歌は世に出ない」と訴えている。

 太田さんは「この当時のRCは作品も演奏もパワーがあり、清志郎の全歴史の中でも突出している。彼がいかに偉大で、反体制マインドを片時も失わなかった音楽家であるかが分かるはずです」と強調。CDのブックレットには当時の清志郎さん直筆の歌詞も掲載される。

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