団十郎さん通夜…棺に「助六」衣装 弔問客の列絶えず

[ 2013年2月6日 06:00 ]

団十郎さんの通夜が行われる実家に入る市川海老蔵

 肺炎のため3日に66歳で死去した歌舞伎俳優の市川団十郎(いちかわ・だんじゅうろう、本名堀越夏雄=ほりこし・なつお)さんの通夜が5日、東京都目黒区の自宅で営まれた。安倍晋三首相(58)をはじめ、中村吉右衛門(68)、松本幸四郎(70)ら約800人が参列。遺体が納められた棺の周囲には歌舞伎の得意演目で使った衣装や小道具などが並べられた。

 「近親者のみの密葬」とされていたが、多くの人から尊敬され、愛された団十郎さんだけに開始の午後7時前から弔問客は絶えなかった。一時は自宅から約300メートルの長い列が延び、隣の公園にまで達した。

 午後9時すぎには安倍首相が弔問に訪れた。中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射していたことが分かり、防衛省が対応に追われる一夜となったが、弔問後、都内の私邸前で記者団に「歌舞伎の宝である団十郎さんを失って残念だ。第1次安倍内閣の時にパリで“勧進帳”を公演されたことを思い出す。ご冥福をお祈りする」と述べた。

 幸四郎は東京都千代田区の日生劇場での二月大歌舞伎に出演後、娘で女優の松本紀保(41)と松たか子(35)とともに訪れた。

 喪主で長男の市川海老蔵(35)は午後3時ごろ、紋付きはかまの正装で姿を現した。100メートルほど離れた自宅から歩いて来ると、厳しい表情で取材陣に会釈。その10分ほど後には、妻でフリーキャスターの小林麻央(30)が、長女麗禾(れいか)ちゃん(1)を連れて入った。麻央の姉でフリーキャスターの小林麻耶(33)も駆け付けた。

 祭壇は自宅1階の稽古場に設けられ、コチョウランなどの花が彩った。棺の中の団十郎さんは紋付きはかま姿。祭壇の左右には、市川家に伝わるお家芸の演目「助六」で使った蛇の目傘と、高円宮家からの花が供えられた。

 棺の上にも故人が得意だった演目「勧進帳」の弁慶が使う数珠や巻物、刀が並び、中には「助六」の衣装、紫鉢巻き、脇差しが納められた。

 遺影は、穏やかな表情を浮かべたスーツ姿。08年7月に「婦人画報」で希実子夫人と一緒に撮影した写真を使った。神式のため戒名はない。葬儀・告別式は6日に、近親者のみの密葬として営まれ、後日、本葬を予定。

 ◆主な参列者 安倍晋三、森喜朗、前原誠司、中村福助、坂東三津五郎、松本幸四郎、松たか子、松本紀保、尾上菊之助、尾上菊五郎、坂東彦三郎、坂東亀三郎、坂東亀俊、市川猿之助、市川段四郎、尾上松緑、朝丘雪路、市川中車、波乃久里子、中村獅童、中村吉右衛門、富司純子、林家三平、海老名香葉子、三田寛子、中村玉緒、寺島しのぶ、伊藤英明、熊川哲也、小林麻耶(順不同、敬称略)

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