阿久悠さん 母校の明大に記念館「生き方や活動を引き継ぐための一里塚に」

[ 2011年10月25日 12:02 ]

再現された阿久悠さんの自宅の書斎

 07年8月に尿管がんのため死去した作詞家で作家の阿久悠さん(享年70)の記念館が、28日に母校の明治大学(東京都千代田区)のキャンパスに開館する。直筆の原稿や、趣味で描いていた絵画など約150点が展示され、執筆作業をしていた自宅の書斎が再現される。

 記念館は「明治大学阿久悠記念館」の名称で、駿河台キャンパスのアカデミーコモン地下1階に開館。これまで鉱石などが展示され、はとバスの観光コースにもなっていた120平方メートルのスペースを利用した。

 阿久さんは1959年に文学部を卒業。亡くなった後に遺族から遺品の寄贈の申し出を受け、明大側が昨年10月に1万点を受け入れた。1年かけて整理し、創立130周年を機にオープンさせる。

 展示されるのは、歌詞の直筆原稿や、執筆活動のためにまとめていたスクラップブック、日本レコード大賞の各賞を受賞した時の記念品など約150点。死去後に原稿が見つかり、今月13日に発売された長編小説「無冠の父」の生原稿も展示される。

 私物の眼鏡や、趣味で描いていた油絵も披露され、執筆作業の拠点だった静岡県伊東市の自宅の書斎も再現。部屋から見える風景を写真に収めて窓に貼り込み、数々の名作を生み出した環境とそっくりに作られた。

 本紙で連載した「甲子園の詩(うた)」のためにつけていたスコアブックの複製も作製。79年夏の箕島(和歌山)対星稜(石川)の激闘と、98年夏の横浜(神奈川)対PL学園(大阪)の延長試合について書いた詩もパネルにして展示される。

 入り口には阿久さんが手掛けた楽曲のレコードのジャケット99枚が飾られ、200曲以上が試聴できるジュークボックスも設置される。

 明大は「阿久さんという偉大な先輩が残した遺産を受け継ぎ、その生き方や活動を引き継いでいくための一里塚にするとともに、阿久さんの業績を発信するセンターにしていきたい」と話している。28日午後2時からセレモニーを行う。

 ≪こうせつら出演 ライブ開催≫開館日の28日は午後7時から、「阿久悠歌謡祭 愛よ急げ」と題したライブもアカデミーコモン3階のアカデミーホールで開催される。南こうせつ(62)、ささきいさお(69)らが出演し、南は阿久さんの遺作に自身で曲を付けた「愛よ急げ」などを披露する。

 ◆阿久悠記念館 入館料は無料。午前10時から午後5時まで開館。休館日は8月10~16日と12月26日~1月7日で、8月の土、日曜に臨時休館がある。問い合わせは明大総務課大学史資料センター=(電)03(3296)4329。

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