愛染恭子、沈痛…「完成まで待っていてほしかった」

[ 2011年5月8日 06:00 ]

団鬼六氏と30年来の親交があった愛染恭子

 胸部食道がんのため6日に79歳で亡くなったSM小説家団鬼六(だん・おにろく、本名黒岩幸彦=くろいわ・ゆきひこ)さんの葬儀日程が7日、決まった。通夜は15日、葬儀・告別式は16日に、いずれも東京都港区芝公園の増上寺で営まれる。30年来の知人で、あまりのショックでコメントを出せなかった女優愛染恭子(53)がスポニチ本紙の取材に応じ、団さんの小説の映画化を進めていると明かし「作品を見てほしかった」と悔しさをにじませた。 

 愛染自身がメガホンを取り、映画化を予定しているのは「旅路の果て~倒錯一代女」。

 昨年初め、団さんの作品を監督したいという愛染のラブコールに、団さんが「映像化するならこれをやれ」と示したのが、小説新潮(09年10月号)に掲載された「旅路…」だった。

 64歳の温泉旅館の女将のもとに、かつて自分を倒錯の世界へと導いた元恋人が30年ぶりにやって来る。久しぶりの再会に女将が過去の出来事を思い出すというもの。すでに台本は完成間近で、キャスティングも順調に進んでいる。ことし2月に台本を読み終えた団さんは「ワシの(原作)とはちょっと変えているなぁ」と笑っていたという。

 2人は愛染が81年に映画「白日夢」で銀幕デビューしたころからの付き合いで、30年にわたり親交を深めていた。これまで団さんの作品に出演することは少なかったが、愛染は10年3月公開の団さん原作の映画「奴隷船」で“ヌード引退”を宣言するほど2人の絆は強かった。

 愛染が団さんと最後に会ったのは昨年2月、「奴隷船」公開の1カ月前だった。団さんから「食道がん」であることを聞かされ、すぐに飛んで行ったが「すでに病状が進んでいて、あまり食べられない状態だった。それなのに、寿司店に連れて行ってくれた。その席で先生は“引退するなよ。元気なうちにもう一回、おまえのために小説を書くから”とおっしゃられていたのに…」と言葉を詰まらせた。

 「本当に紳士な方で、とても周りに気を使う人だった。映画が完成するまで待っていてほしかった」と話した。

 ◇団鬼六さん葬儀日程
 【通夜】15日(日)午後6時
 【葬儀・告別式】16日(月)午前11時
 【場所】増上寺光摂殿=東京都港区芝公園4の7の35=(電)03(3432)1431
 【喪主】長男黒岩秀行(くろいわ・ひでゆき)氏

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2011年5月8日のニュース