「B’z」松本 グラミー賞!実は「夢でした」

[ 2011年2月15日 06:00 ]

グラミー賞を受賞したラリー・カールトン(左)と「B’z」のギタリスト、松本孝弘

第53回グラミー賞

(2月13日 米ロサンゼルス)
 米音楽界最高の栄誉とされる第53回グラミー賞が13日(日本時間14日)、ロサンゼルスで発表され、ロックデュオ「B’z」のギタリスト松本孝弘(49)が「最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」を受賞した。ポップス部門での日本人受賞は初。さらにピアニストの内田光子さん(62)ら計4人の日本人が受賞。複数の日本人が同時受賞するのも初めてだ。

 日本を代表するロックギタリストが世界の壁を越えた。

 授賞式に先立ち行われたプレショーで受賞発表。ステージに上がった松本は緊張気味だったが、流ちょうな英語で「日本人のギタリストとして大変光栄です」と笑顔。最後に日本語で「どうもありがとうございました」とあいさつした。式後のコメントでは「これまで絶対に人には言わなかったけど、グラミーは僕自身の長年の目標であり、憧れ続けてきた夢でした」と喜びを表現した。

 受賞作は、ジャズフュージョン界の名ギタリスト、ラリー・カールトン(62)との共作アルバム「TAKE YOUR PICK」(昨年6月発売)。ラリーはフュージョンバンド「ザ・クルセイダーズ」で活躍し、過去にグラミー賞を3度受賞した大御所。6曲ずつを持ち寄った作品で、名手2人が多彩な音を聴かせた。

 共作を望んだのはラリー。2人が契約する世界一のギターメーカー・ギブソンを通じ、07年にオファー。松本は当初「2人で何ができるのかが見えなかった」と即断はできなかった。1年後にラリーが来日した際に再度懇願され、「やるしかないな」と共演を決めた。

 自作の3曲を持ってラリーと会うと、「やり始めたら頭の中で考えるよりイージーだった」。ラリーも「3曲やっただけでうまくいくと確信した」と、すぐに意気投合。作品は全世界で発売され、インスト作品として異例のオリコンアルバムチャート2位を記録した。

 B’zは07年11月、アジア人として初めて米ロサンゼルスの「ロックの殿堂」入りを果たしている。相方のボーカル稲葉浩志(46)からは昨年12月にノミネートが決まった際、「You are my hero(君は私の英雄だ)」と賛辞を受けたという。

 「甘んじることなく、あすからまた新たな音楽づくりに精進していきたいと思います」。“世界のマツモト”として、さらなる高みを目指す。

 ▼ラジオDJ矢口清治さん ポップス部門での受賞は快挙といえる。こんな日が来るなんて。実績も知名度もあるラリー・カールトンとの共作の意味合いも強いが、松本さんの創造性や日本人的感性が評価に結び付いたのだろう。従来のグラミー賞では、日本人はエスニックの感覚でとらえられてきたが、ポップスのフィールドでも評価されることが示された。日本人アーティストの可能性が広がるのではないか。

 ▼亀梨和也(デビュー曲「Real Face」の提供を受け)アーティストとしての道筋を作ってくださった松本さんが凄い賞を受賞したと知り興奮してます。

 ≪ソロ活動11枚目の作品≫受賞作「TAKE YOUR PICK」は、「Larry Carlton&Tak Matsumoto」名義で発売。松本にとってはソロ活動11枚目の作品。全12曲のインスト曲で構成し、2人がそれぞれ曲とアレンジを担当。B’zのツアーでソロ曲として披露された「JAZZY BULLETS」や、ラリー・カールトンの代表曲を再アレンジした「Nite Crawler 2010」などを収録。昨年6月の発売後には全国ツアーも行った。

 ≪88年に「B’z」結成≫松本は1961年(昭36)3月27日、大阪府生まれ。88年に稲葉浩志と「B’z」を結成。B’zとして、オリコンチャートでの1位獲得作品数は、シングル43作、アルバム23作でいずれも歴代1位。ベスト盤「Plesure」(98年)は約513万枚を売り上げた。アルバム総売り上げは4400万枚を超え、アーティスト別セールスで断トツの国内1位。また松本は、99年にギブソンから世界で5人目、日本人初となるシグネイチャー・アーティストに選ばれ、「松本モデル」のギターが発売された。

 ◆グラミー賞 米国音楽界最大のイベントで、世界で最も権威ある音楽賞と言われる。1958年に創設。非営利団体の全米レコード芸術科学アカデミーが主催。アーティスト、作曲家、プロデューサーら同アカデミー会員の投票で決まる。選考では売り上げやチャート順位より、作品の質や芸術性が評価されるという。音楽の全ジャンルが対象で、現在は109部門。賞の呼称は「グラモフォン(蓄音機)」の形のトロフィーが受賞者に手渡されることに由来。

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