幅広い年齢層に愛され…作詞家・丘灯至夫さん逝く

[ 2009年11月25日 06:00 ]

死去した作詞家の丘灯至夫さん

 「高校三年生」などのヒット曲やアニメ「ハクション大魔王」の主題歌などで知られる作詞家の丘灯至夫(おか・としお、本名西山安吉=にしやま・やすきち)さんが24日午前4時2分、腎不全のため、東京都内の病院で死去した。92歳。福島県出身。「高校三年生」を作曲し、昨年12月に亡くなった遠藤実さん(享年76)に続く悲報に、歌い手の舟木一夫(64)は「育ての親を失った気持ち」と悼んだ。

 舟木はこの日午後2時半から練馬区内で昼夜2公演を行った。午前中に悲報に接し「少しつらくなりそう」と悲しみを胸に秘めてのステージに。デビュー曲「高校三年生」は中盤で披露したが、涙は見せず普段通り明るく歌い上げた。終演後、女性客は「(丘さんが)亡くなったの?舟木さんの姿からは全く気付かなかった。“高校三年生”の時にいつもより元気に歌っているなとは思った」と話した。
 63年に学生服姿でデビューした舟木を一躍スター歌手にした学園3部作のすべてが、遠藤さんの作曲。うち同曲と「修学旅行」の2作は丘さんが作詞。04年の還暦公演で着た“赤い詰め襟”は2人からのプレゼントだった。それだけに「“高校三年生”の生みの親が相次いで亡くなられてドラ息子だけが残っちゃいました。何だか自分の育ての親を失ったような気持ちです。この先も丘先生の作品群を大切に歌い続けていきたい」とコメントした。
 丘さんが腎不全と分かったのは昨年6月。入院したのは今年6月で、数日前に容体が悪化。妻ノブヨさんと長男の家族にみとられながら、静かに息を引き取ったという。
 詩人の西条八十に師事。戦後、毎日新聞社で働きながら、49年に日本コロムビアの専属作詞家となり「高原列車は行く」「東京のバスガール」などのヒット作を送り出した。中でも作曲家の古関裕而さんや遠藤さんとのコンビで活躍し、「高校三年生」で63年の日本レコード大賞作詩賞を受賞。アニメ「みなしごハッチ」の主題歌や童謡など幅広く手掛けた。「東京のバスガール」「あこがれの郵便馬車」など乗り物を歌った作品は多く、08年に歌手エノケソ(77)に作ったのも「霊柩(きゅう)車はゆくよ」。「もうこれで感無量」と、葬儀で流すよう言い残したという。葬儀・告別式は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻ノブヨさん。

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2009年11月25日のニュース