顔を損傷した遺体…クレヨンしんちゃん作者か

[ 2009年9月20日 06:00 ]

埼玉県春日部市にある臼井儀人氏の自宅

 群馬・長野県境の荒船山(1422・5メートル)で19日午前10時半ごろ、崖の下に横たわる遺体を埼玉県の登山者が発見した。群馬県警下仁田署によると遺体は男性で、死後数日が経過している。行方不明となっている漫画「クレヨンしんちゃん」の作者臼井儀人さん(51)=本名臼井義人=の可能性もあるとみて、20日に遺体を引き揚げて調べる。遺体の服装は、11日に埼玉県春日部市の自宅を出た際のものと似ているという。

 遺体が見つかったのは、下仁田町南野牧にある「艫(とも)岩」の下。艫岩は横幅約500メートル、高さ最大300メートルの巨岩で、北側は200メートルの絶壁。遺体が見つかったのは、その絶壁側にある“展望スペース”のほぼ真下。木や草が生えているところで、展望スペースからは100メートルほど下。ただそこは登山道ではなく、群馬県山岳連盟によると「通常、人が行くような場所ではない」という。艫岩では遺書や靴など自殺につながるものは発見されておらず、下仁田署では転落したものとみている。
 登山者からの通報を受け、同署の警官1人が現場入り。遺体には全身骨折が見られ、顔の損傷が激しいという。白いTシャツに黒いリュックを背負っており、臼井さんが家を出た時の服装に似ている。現場は約60度の急斜面なため、同署では19日の遺体収容は断念。20日に引き揚げて調べる。
 艫岩は山頂へと続く登山道の途中にあり、展望スペースからは下がのぞきこめるが、柵は設置されていない。家族連れが軽装で楽しめる初心者向けの登山コースにおいて唯一、危険な場所。ただ同署によると、自殺者が数年に1人出ることはあるが転落死は非常に珍しいという。
 「クレヨンしんちゃん」は90年に双葉社の漫画雑誌「Weekly漫画アクション」で連載が始まり、現在も同社の月刊誌「まんがタウン」で連載中。同社によると12月号(11月5日発売)分まで原稿が届いているという。テレビ朝日で放送中のアニメ(金曜後7・30)は、秋の特番シーズンに入っており、次回は10月16日放送予定。
 臼井さんは11日朝、「荒船山に行く」と言って春日部市の自宅を出たまま戻らず、家族が12日、埼玉県警春日部署に捜索願を出した。携帯電話は14日までは呼び出し音が鳴り、電波が群馬県と長野県の県境周辺で確認されていた。

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2009年9月20日のニュース