まずは見た目が勝負?宝塚音楽学校“原石”発掘に躍起

[ 2008年10月30日 08:23 ]

タカラジェンヌを目指し、バレエのレッスンに励む少女ら

 「清く正しく美しく」をモットーに未来のタカラジェンヌを育てる宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)が、来春から入学試験の内容を変更する。1次試験は実技を取りやめ「容姿」「華やかさ」を見る面接のみに。「完成された能力より、ダイヤモンドの原石を」との狙いだが「タレントのオーディションみたい」との声も上がり、関係者の間に波紋を広げている。

 15―18歳が入学する同校の定員は毎年約40人で、ここ数年は800人程度が受験している。従来の試験は、歌やバレエなどの実技が中心の1次で120人程度に絞り込んでいた。
 受験生は元タカラジェンヌが指導する教室に通って準備するケースが多い。全国にある教室では歌や踊りだけでなく、笑顔の作り方なども細かく教える。
 こうした指導に拍車をかけたのが、約10年前に販売された音楽学校の紹介ビデオ。入試の様子も映っており、受験生の話し方などを模倣する動きが広がった。
 「過熱気味。個性や持ち味が消えてしまうのでは」。同校ではこんな懸念が強まった。元トップスター鳳蘭など、入学前に歌やバレエの経験がほとんどなかった生徒が、その後大成したケースは少なくないという。
 このため同校は「実技の練習をしていなくても、磨けば光る人材はいるはず。多くの人が受けやすいように」として新試験では1次を面接のみに変更。400人程度に絞った上で、2次の実技でもリズム感や声の質など「素質」を重視する形に変える。
 「第2次ベルばらブーム」の影響で1994年には過去最多の約1930人が受験したが、少子化もあり最近はその半分以下。受験生を増やし多数の中から人材を選びたいとの思惑もある。
 「容姿偏重でタレントオーディションみたい。面接だけでは才能のある子を見抜けない」。宝塚受験コースを設置している京都市のミュージカルスクール。主宰する元タカラジェンヌ(55)は不満そうだ。
 スクールに通う滋賀県彦根市の高校2年生(17)は「背が低いから面接で落ちてしまうかも」と動揺している。レッスン中も「実技を審査してもらえないのでは」と不安に。別の生徒と「何も準備しないで来た子が受かったら悔しいよね」と話すこともあるという。
 一方、宝塚歌劇ファンの作家玉岡かおるさんは「スターはみんな学校に育てられる。原石を探して磨き上げる作業は大変でも、教育機関としての本来の姿。大いに期待したい」と歓迎している。

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2008年10月30日のニュース