マドンナ養子の父貧困ゆえに「後悔ない」

[ 2008年6月3日 19:14 ]

 アフリカ南部マラウイの裁判所がこのほど、米人気歌手マドンナの申請に基づき、男児(2)の養子縁組を認める決定を下した。マラウイの法律に違反する養子縁組に対し「特別扱い」との批判も上がったが、男児の実父は貧しい生活の現実を前に「後悔はない」ときっぱりと語った。

 首都リロングウェから赤土のでこぼこ道を車で西へ走ること3時間。わらぶき屋根と土壁の民家が点在する一帯にリプンガ村があった。マドンナの養子となったデービッドちゃんの故郷だ。

 実父のヨハネ・バンダさん(34)は2年前のことを「パニックだった」と振り返る。出産の1週間後、妻が血を吐いて死亡。デービッドちゃんが生まれる前にも息子を2人失っており、死因はいずれもマラリアの可能性が高いという。

 落花生などの栽培で生計を立てるバンダさんの収入は月に1万クワチャ(約7500円)を超える程度。肥料に大半を使い切り、生活には「一切余裕がない」状況で、デービッドちゃんをすぐ孤児施設に預けざるを得なかった。

 そうした中、マドンナが2006年10月、養子縁組を申請した。マラウイで孤児支援活動を行うマドンナさんは、新作アルバムが日米のヒットチャートで1位となるなど人気は健在。昨年には米国のプロモーション会社と10年で1億2000万ドル(約126億円)規模の契約を結ぶなど、経済力ではバンダさんと雲泥の差がある。

 しかし、マラウイでは非居住外国人の養子縁組を原則認めておらず、マドンナの養子縁組について地元の人権団体は「違法な児童売買を助長する」と反発していた。

 今回の養子縁組が国や地元の村のためになるのかは「分からない」と正直に話すバンダさん。「自分で育てたかったが後悔はしていない」と断言し、こう続けた。「デービッドは神の恵み。村に戻ったら妻のように死んでしまうかもしれない。もうたくさんだ」

 国連児童基金(ユニセフ)などによると、サハラ砂漠以南のアフリカで親を亡くした孤児の数は約4600万人に上り、全世界の3分の1を占める。マラウイの孤児は約百万人で、貧困や医療施設の未整備から、10人に1人は5歳未満で命を落としている。

 「あの子が将来、この貧しい国や村を助けるのか、それとも軽蔑するのか、彼自身が決めること。親としては、ただ元気に生き延びてほしいと願うだけ」。バンダさんはそう言うと、小さくうなずいた。(共同)

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