旭山動物園園長“卒業映画”で西田熱演
北海道旭川市の旭山動物園の再生を初めて映画化する「旭山動物園物語~ペンギンが空をとぶ~」(監督マキノ雅彦、09年新春公開)の撮影が佳境に入っている。このほど、園内で撮影中のロケが公開された。主演で園長役の西田敏行(60)の演技に、来年3月で定年退職する動物園の小菅正夫園長(59)は「自分の卒業制作のようで記念になります」と目頭を熱くしている。
氷点下20度を下回った2月のクランクインからおよそ2カ月。桜の開花が待ち遠しい動物園の正門前に、園長役の西田が立っていた。万感の思いで動物園を去っていくラストシーンだ。
わずか数秒のシーンだったが、西田は「僕よりちょっとおなかがへっこんでいるんだけど、演じていて(小菅)園長の顔が浮かんできた。うるっときちゃったよ」と感極まった。
一方、撮影風景を端で眺めていたのが、来年3月で退職する小菅園長だ。北大卒業後、約40年にわたって旭山動物園を見守ってきた。83年をピークに入園者が減少。94年には寄生虫が原因でローランドゴリラなどが死亡し、途中閉園も経験した。どん底の95年に園長に就任。廃園の声が上がる中で「動物たちのかけがえのなさ、命の大切さを伝えたい」という思い一つで乗り切ったという。
ペンギンが水中で鳥と同じ格好で泳ぐ姿など動物たちのありのままを見せる「行動展示」を実施し、動物園は奇跡の再生を成し遂げた。映画は小菅園長の半生を描いた作品とも言え、西田の演技に自身をオーバーラップさせ「オレもこうやって去っていくのかなあと思ってジーンときました」としみじみ語った。
06年と07年にフジテレビで「奇跡の動物園~旭山動物園物語~」として2度ドラマ化され、その時に園長を演じたのが津川。西田の演技について「僕の時は(小菅園長の)奥さんからクレームがついた。西田さんは300点満点」と太鼓判を押した。
園長やスタッフから真摯(しんし)に話を聞いて役をつくってきた西田らと接した小菅園長も、映画製作の誠実さを感じており「僕らのやってきたことが多くの人に分かっていただけるのはうれしい」と公開を待ち望んでいる。
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