市川崑監督と惜別…石坂浩二涙の弔辞

[ 2008年3月30日 06:00 ]

市川崑監督お別れの会で涙ぐみながら弔辞を読む俳優の石坂浩二

 2月13日に肺炎のため92歳で死去した映画監督・市川崑さんの「お別れの会」が29日、東京都世田谷区の東宝スタジオ内の第9ステージで行われた。葬儀は近親者による密葬だったため、この日は映画関係者ら約850人が参加。「犬神家の一族」など多くの市川作品に出演した俳優の石坂浩二(66)は「ついこの前、このステージで監督と仕事をしたばかりなのに…」と涙ながらに弔辞を読み上げた。

 「監督の大好きな麻雀もない、サーロインステーキも焼けない、こんな会はつまらないと思ってらっしゃるかも…」。トレードマークのニット帽とくわえタバコの遺影に向かって弔辞を読んだ石坂は涙を流し続けた。
 第9ステージは77年の「獄門島」、85年の「ビルマの竪琴」、87年の「竹取物語」で演出を受けた場所。「ついこの前、この天井の下で監督と仕事をしたばかりなのに…」。会の前に行われた会見では「亡くなる1週間前、延期になった新年会を2月20日にやろうというメッセージをもらったのが最後になってしまった」と悔やんだ。
 石坂や吉永小百合(63)中村敦夫(68)らが発起人となったお別れの会には、監督に指導を受けた俳優が多数参加。遺作となった「犬神家の一族」に出演した女優の松嶋菜々子(34)も駆け付けた。昨年11月30日に第2子を出産後、初めての公の場となった。
 女優の岸惠子(75)は、滞在先のパリで監督から「細雪」の出演依頼を電話で受けたエピソードを披露。「惠子ちゃん、日本に帰ってきてな。長女役やってほしいんだけど。ミスキャストとも思うんやけど、なんておっしゃって」と振り返った。
 会場では、監督の劇場公開作品78本と撮影現場の写真などをまとめた17分間の追悼映像も流された。ラストはタバコに火をつけた市川監督が撮影所の奧へ消えていくシーン。参列者は大きな拍手で巨匠を見送った。

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2008年3月30日のニュース