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12年ロンドン五輪銅・清水聡 “世紀の大決戦”までたどり着いた村田を仲間として誇らしく思う

[ 2022年4月10日 05:30 ]

WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦12回戦   〇ゲンナジー・ゴロフキン TKO9回2分11秒 ●村田諒太 ( 2022年4月9日    さいたまスーパーアリーナ )

清水聡
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 【12年ロンドン五輪銅・清水聡 現地観戦記】12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得し、同学年の村田と一緒にメダリストとなった東洋太平洋フェザー級王者の清水聡(36=大橋)が現地で観戦し、盟友の一戦を語った。

 村田、お疲れさま。勝ってほしいと願っていたし、何かやってくれる男だと信じていたので残念だが、頑張ったと思う。序盤はゴロフキンの動きが悪く、村田のパンチも当たっていたので、できれば3回までに勝負をつけたかった。そこからゴロフキンに盛り返されてしまい、ロープを背負ったら終わりと僕が予想していた展開になってしまった。

 それでも陰でたくさん努力を重ねて多くの苦労を乗り越え、“世紀の大決戦”にたどり着いた村田が仲間として誇らしい。村田自身にも誇りに感じてほしい。コロナ禍で思うように試合が組まれない時期の心情は同じボクサーとして理解できるし、お互いによく、ここまで耐えたと思う。

 村田のプロデビュー時、僕は観戦記で「敗北から、はい上がる姿も見てみたい」と書いた。実際にプロで2回負け、そこからはい上がり、さらに強くなったと感じた。そして、このコロナ下に、こんなに大きな会場で多くの人たちに注目される試合ができたことも本当に素晴らしい。アマチュアボクシングの代表としてプロになり、アマチュアの強さをプロのリングで証明するという役目は十分に果たしてくれた。

 僕と村田は同い年で、日本代表で一緒に練習し、ロンドン五輪では同部屋だった。プロになった後も連絡を取り合ってたまに食事に行く。村田は頭が良くてボクシングIQも高い。自分はどちらかというと感覚派だが、村田は何事も論理的に考える感じでタイプが違うこともあり、ボクシングに関する話はあまりせず、昔の合宿の面白話ばかりだ。最近は年齢的に“引退”については何度か話した。

 次に村田がどんな決断をするのかは分からないけど、悔いのない選択をしてほしい。自分のベストとしては村田と同時に世界王者になることだったので、今日の結果は本当に残念だけど、良い刺激をもらった。ロンドン五輪では僕が先にメダルを確定させて、プロでは村田が先に世界王者になった。今度は僕が頑張る番だ。落ち着いたら、またアマチュアの仲間たちと、ナショナルチーム時代によく行っていた赤羽にでも飲みに行きましょう。まずは、ゆっくり体と心を休めてください。本当にお疲れさまでした。(ロンドン五輪銅メダリスト、東洋太平洋フェザー級王者)

 ◇清水 聡(しみず・さとし)1986年(昭61)3月13日生まれ、岡山県総社市出身の36歳。08年北京五輪はフェザー級で2回戦敗退も12年ロンドン五輪バンタム級で銅メダルを獲得。16年9月、大橋ジムからプロデビューし、4戦目で東洋太平洋フェザー級王座を獲得。プロ戦績は10勝9KO1敗。身長1メートル79の左ボクサーファイター。

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2022年4月10日のニュース