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井上尚弥 相手の脅威のタフさを称賛「俺パンチないのかな」「こっちがメンタルやられそう」

[ 2021年12月14日 21:25 ]

<WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ 井上尚弥VSアラン・ディパエン>8R、アラン・ディパエン(右)を攻める井上尚弥(島崎 忠彦)
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 プロボクシングWBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦は14日、東京・両国国技館で行われ、統一王者・井上尚弥(28=大橋)がWBA10位、IBF5位のアラン・ディパエン(30=タイ)を8回TKOで下し、19年11月以来となった国内リングでWBA6度目、IBF4度目の防衛に成功した。

 相手の間合い、パンチ力を見極める静かな第1ラウンドとなったが、徐々に間合いをつめ、3回は手数も多くなり、ペースをつかんだ。上下の強烈なパンチが当たったが、ディバインも脅威のタフネスぶりを発揮した。それでも、8回、左のパンチでダウンを奪うと、立ち上がった相手に、ラッシュをかけ、レフェリーがストップした。

 相手のタフさが光った試合となった。「ディバイン選手、本当にタフで、向かいあった時に、何かを狙っているなという雰囲気、すごく根性も感じた」という井上。「すごいこの試合に向けて練習してきたリードジャブ、すごい手応えはあったのですが、やっている最中“これ効いているのか”というくらい、表情も出さず、淡々とタフさを出してきた。やっているこっちがメンタルやられそうで、“あれ、俺パンチないのかな”と感じてしまうくらいタフでした」と称えた。

 直近2戦を米ラスベガスで戦った井上にとっては2年1カ月ぶりの“凱旋”試合。希望していた他団体王者との統一戦は実現しなかったものの、「ドラマインさいたま」と呼ばれ、年間最高試合にも選ばれたノニト・ドネア(フィリピン)戦以来の雄姿を国内のファンに披露した。

 対戦相手のディパエンは2019年2月デビューと、キャリアは浅いものの、ムエタイで50勝10敗の実績持ち、ボクシングでのKO率は78%超という強打者。井上のタイ人選手との対戦成績は3勝3KO勝ちだが、世界戦に限ると、14年9月に対戦したサマートレックは11回TKO、16年9月に対戦したペッバーンボーンは10回TKOと、仕留めるまでに長い回数を要していた。

 それでも「ここ最近の試合で言うと、ラウンド数も短く、“もっと見せてくれよ”という声もあり、こういう8ラウンドまでやれば、“8ラウンドまでかけてこのヤロウ”という人もいれば、色々な意見もあるので、きょうは2年ぶりの8ラウンドを日本のリングでやれたこと、楽しく戦えたことは良かった」と井上。相手との技術、スピードの差は圧倒的だった。

 ◇井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日生まれ、神奈川県座間市出身の28歳。新磯高(現相模原弥栄高)時代に高校7冠などアマ通算81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。14年4月にプロ6戦目でWBC世界ライトフライ級王座獲得。同12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得して8戦目で2階級制覇。18年5月、WBA世界バンタム級王座を獲得して3階級制覇達成。19年5月にIBF同級王座獲得、同11月にはWBSSバンタム級トーナメント優勝。身長1メートル65、リーチ1メートル71の右ボクサーファイター。

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