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井上尚弥、圧倒も笑顔なき8回TKO勝ち 国内凱旋で世界戦17連勝も「戦前の期待をはるかに下回る試合」

[ 2021年12月14日 20:44 ]

<WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ 井上尚弥×アラン・ディパエン>8R、TKOで勝利した井上尚弥(撮影・島崎 忠彦)
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 プロボクシングWBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦は14日、東京・両国国技館で行われ、統一王者・井上尚弥(28=大橋)がWBA10位、IBF5位のアラン・ディパエン(30=タイ)を8回2分34秒TKOで下し、19年11月以来となった国内リングでWBA6度目、IBF4度目の防衛に成功した。

 相手の間合い、パンチ力を見極める静かな第1ラウンドとなったが、徐々に間合いをつめ、3回は手数も多くなり、ペースをつかんだ。上下の強烈なパンチが当たったが、ディバインも脅威のタフネスぶりを発揮した。それでも、8回、左のパンチでダウンを奪うと、立ち上がった相手に、さらにラッシュをかけ、レフェリーがストップした。

 井上は試合後、冒頭に「戦前の予想、期待をはるかに下回る試合をしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。ディバイン選手、本当にタフで、向かいあった時に、何かを狙っているなという雰囲気、すごく根性も感じたので、こういう試合展開になりましたが、今後も期待してください」と話した。

 直近2戦を米ラスベガスで戦った井上にとっては2年1カ月ぶりの“凱旋”試合。希望していた他団体王者との統一戦は実現しなかったものの、「ドラマインさいたま」と呼ばれ、年間最高試合にも選ばれたノニト・ドネア(フィリピン)戦以来の雄姿を国内のファンに披露した。

 対戦相手のディパエンは2019年2月デビューと、キャリアは浅いものの、ムエタイで50勝10敗の実績持ち、ボクシングでのKO率は78%超という強打者。井上のタイ人選手との対戦成績は3勝3KO勝ちだが、世界戦に限ると、14年9月に対戦したサマートレックは11回TKO、16年9月に対戦したペッバーンボーンは10回TKOと、仕留めるまでに長い回数を要していた。

 苦手意識こそないものの、過去に苦戦を強いられたタイ人ボクサーを撃破し、来春の統一戦実現へ一歩前進。WBO王者ジョンリール・カシメロ(32=フィリピン)が11日にUAEのドバイで予定されていた指名試合を体調不良を理由にキャンセルし、WBOから診断書の提出を求められ、処遇が保留状態のため、ターゲットはWBCドネアが有力視されている。

 ◇井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日生まれ、神奈川県座間市出身の28歳。新磯高(現相模原弥栄高)時代に高校7冠などアマ通算81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。14年4月にプロ6戦目でWBC世界ライトフライ級王座獲得。同12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得して8戦目で2階級制覇。18年5月、WBA世界バンタム級王座を獲得して3階級制覇達成。19年5月にIBF同級王座獲得、同11月にはWBSSバンタム級トーナメント優勝。身長1メートル65、リーチ1メートル71の右ボクサーファイター。

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