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【村田という男】リングで「楽しそうに殴る」ガキ大将

[ 2019年7月13日 08:10 ]

WBA世界ミドル級タイトルマッチ   ○同級4位・村田諒太 TKO2回2分34秒 王者ロブ・ブラント● ( 2019年7月12日    エディオンアリーナ大阪 )

2回、ブラント(左)を攻める村田(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 昨年10月の王座陥落直後は引退を考えながら、現役を続行してボクサー人生を懸けたリングに上がった村田諒太。日本人初の五輪金メダリスト&プロの世界王者の素顔を、新旧担当記者が明かした。

 村田は「闘う哲学者」と呼ばれる。確かに心理学や哲学などの難しい本をよく読んでいるし、コメントも奥深い。世界王者となり、陥落するまでの時期を取材したが、場面に合わせて空気を読み、完璧な受け答えをする。

 だが、やはり似合うのはリングだ。ジムでのミット打ちを写真撮影していて印象に残ったのが、実に「楽しそうに殴る」こと。特に試合へ向けたテーマを気にしないでいい練習では、目を輝かせてパンチを振るっていた。本当に失礼だが、「おもちゃを手にしたガキ大将」というフレーズがぴったりだった。

 ミドル級という特別な階級で金メダルと世界王座を獲得。ファンや関係者の期待を背負い、村田はビジネス面も理解しながら闘ってきた。だけど、記者が書けないような軽口を叩いたり、関係者のモノマネをする、ガキ大将のような姿が一番、彼らしく感じた。誰のためでもない、自分のプライドを懸けるための今回の再戦は、飾ることなく、本性をむき出しにしてリングに上がれたのではないか。(16~18年担当・中出 健太郎)

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2019年7月13日のニュース