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村田勝利呼んだ5センチの勇気 踏み込んで増したパンチの威力

[ 2019年7月13日 05:30 ]

WBA世界ミドル級タイトルマッチ   ○同級4位・村田諒太 TKO2回2分34秒 王者ロブ・ブラント● ( 2019年7月12日    エディオンアリーナ大阪 )

2回、ダウンを奪う村田(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 村田は昨年10月に完敗したブラントを2回2分34秒で退けた。1回、いきなり飛び出してきたことに「面食らった」というが、対処法は準備しており、慌てなかった。

 「そこで(本田)会長が“前だよ、後ろじゃなくて前でつぶせ”と言ってくれて、前でつぶす練習はずっとやっていたので。それが奏功しました」

 再起を決意後、村田はメイン担当は田中繊大トレーナーのままミット打ち担当を元3階級制覇王者ホルヘ・リナレスの弟カルロス・トレーナーに変更。通常のミットだけでなく、ドラムミット、ハンドミット、スティックミットを使い分け、コンビネーションを磨いた。ジムワークの仕上げは対角線上にロープを張ったリングでのシャドー。ダッキングなどの動作確認が目的だが、その目には常にブラントの姿が映っていた。

 33歳。自分の体とも向き合った。「最初にいつ何をやるって細かく決めてしまうと、崩れた時に修正が難しい」。自分の体調を見極めながら日々の練習量を微調整。結果として一度も予定を変更することなくスパーを消化、そのラウンド数は130に達した。

 「練習はウソはつかないって言うけど、ウソをつく時もある。でも結局は練習したことしか試合では出ないんです」

 第1戦の反省から徹底したのは「体を起こされない」こと。本田会長は「勝利に必要なあと少しの勇気。(指を5センチほどに広げ)あと、これだけ踏み込めるかどうか」と話していたが、重心を下げ、距離を縮めたことでパンチの威力も増した。大きくグラつかせたのは得意の右だったが、最初に手応えを感じたのは左フック。「スパーリングでもよく出ていた」パンチだった。チームとして対策してきたことが会心の勝利を呼び込んだ。

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2019年7月13日のニュース