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【村田という男】山根騒動で沈黙貫く姿勢格好良かった

[ 2019年7月13日 08:00 ]

WBA世界ミドル級タイトルマッチ   ○同級4位・村田諒太 TKO2回2分34秒 王者ロブ・ブラント● ( 2019年7月12日    エディオンアリーナ大阪 )

勝利者インタビューで感極まる村田(撮影・大森 寛明)
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 昨年10月の王座陥落直後は引退を考えながら、現役を続行してボクサー人生を懸けたリングに上がった村田諒太。日本人初の五輪金メダリスト&プロの世界王者の素顔を、新旧担当記者が明かした。

 この日の大阪はプロボクサー村田にとって、一つの“原点”の地かもしれない。12年ロンドン五輪で金メダル獲得後、ずっとプロ転向を否定していたが、「プロを考えているのは事実です」と公の場で初めてプロへの思いを語ったのが、13年2月、大阪市内のホテルだった。その日は日本アマチュアボクシング連盟(現日本ボクシング連盟)の理事会が開催されていた。当時は山根明会長の独裁体制。指導者転身を希望していた山根会長の意に反し、村田は1月半ばにプロ転向の意向を伝えた。理事会はアマとして活動できなくなる異例の「引退勧告」を決議した。選手の職業選択の自由も認めない異常な時代だった。

 村田は理事会の混乱を伝え聞くと、急きょ東京からかけつけて文句も言わずに謝罪した。その素早い大人の対応で問題は収拾。同会長もプロ入りに理解を示し、村田のプロ人生はスタートした。昨年の山根騒動の時、誰よりも言いたいことはあったと思うが、多くを語ることはなかった。その姿は、格好良かった。(13~15年担当・柳田 博)

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2019年7月13日のニュース