元NPB審判員が見たセンバツ注目ドラ1候補 山梨学院・菰田陽生、直球の質はプロ1年目の大谷以上

[ 2026年3月18日 06:00 ]

ブルペンで投球練習する山梨学院の「ネクスト大谷」菰田(撮影・松永 柊斗)
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 2011年から6年間、NPB審判員を務めた柳内遼平記者(35)がフル装備で選手の成長や魅力をジャッジする「突撃!スポニチアンパイア」。第21回は今秋ドラフト1位候補に挙がる山梨学院の最速152キロの二刀流右腕・菰田陽生(こもだ・はるき)投手(3年)。19日開幕の第98回選抜高校野球大会(13日間、甲子園)に出場する「ネクスト大谷」の投手能力に迫った。

 思えばNPB審判員3年目の13年は日本ハムの名護キャンプで始動した。連日、ブルペンで300球近くをジャッジする中、ひときわ輝く投手がいた。当時まだまだ未完成だった大谷翔平だ。リリースポイントが極端に本塁寄りで「15メートルくらいから投げているのか」と思わせた。あれから13年。今も脳裏に球道が刻まれている。

 21回目の本企画で初の注文が入った。アマチュア野球担当のデスクから「ドラ1候補って評判なんだからプロのストライクゾーンで勝負してこい」。一理ある。高卒でプロ入りした投手はまずプロの「狭いゾーン」に苦しむ。一足早くプロの洗礼を浴びてもらうのも将来プラスになるかもしれない…と思案しながら甲府に向かった。

 審判員を離れて10年。時は残酷で「打ちづらい投手は審判員もジャッジしにくい投手である」という鉄則を忘れていた。ブルペン入りした1メートル94、102キロの超大型右腕がリリースした瞬間に「高い所から落ちてくる」と強烈な印象だ。時計の短針基準で「1時30分」の高さで腕を振り、体感で150キロに迫る直球が降ってきた。

 さらにホップ成分が強く、浮き上がるような球質のため「上→下→上」とジェットコースターのような軌道に感じた。低めいっぱいに決まっても頭の中は「?」。正直、特異な軌道がストライクゾーンを通ったか判断に悩んだ。プロのゾーンで洗礼を浴びせるどころか、18メートル44の主導権は菰田にあった。

 昨春の選抜で152キロを計測して名を売った一方、昨夏の山梨大会、秋の関東大会は140キロ前半止まりの試合が多数。球速表示は控えめなのに、打たれなかった。昨夏の甲子園で4強入りに貢献し、高校日本代表入りした捕手の横山(立正大)は「(同じ代表メンバーの)健大高崎の石垣(ロッテ)の方が速いけれど、威力は菰田が上」と証言。威力とは球速ではなく「上→下→上」の特異な軌道を描く球質だった。

 高校通算34本塁打の打者としてもドラ1級の二刀流。古い記憶を呼び起こし、プロ1年目の「投手大谷」と比べても直球の質は菰田が上と断言できる。ただ、現状でプロ級の変化球は一つもない。直球一本でねじ伏せる水島新司さんの漫画「球道くん」の中西球道のようだ。今後フォークなど決め球に出合えば鬼に金棒だろう。

 大谷は前例なき右肩上がりの成長を続けてきたからこそ未到の地にいる。その背中を追いかけ得る特大の原石だからこそ、菰田には「ネクスト大谷」を名乗る資格がある。

 ◇菰田 陽生(こもだ・はるき)2008年(平20)12月21日生まれ、千葉県出身の17歳。御宿小では御宿少年野球クラブ、九十九里リトルリーグでプレーし、御宿中では千葉西リトルシニアに所属。50メートル走6秒4、遠投100メートル。3学年上の兄である上武大・朝陽外野手は来秋ドラフト候補。憧れの選手はドジャース・大谷。1メートル94、102キロ。右投げ右打ち。

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