高校野球でDH解禁も公式戦で「使えない」致命的な理由…公立や連合チームほど不利な「大谷ルール」

[ 2026年3月14日 16:32 ]

春季高校野球東京都大会一次予選   海城19―0足立工科・大田桜台・桐ケ丘・三商・中野工科(5回コールド) ( 2026年3月14日    日野高校グラウンド )

海城は「6番・DH」で出場した西川が中越えにランニング弾を放った(撮影・柳内 遼平)
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 春季高校野球春季大会は全国一番乗りで東京の一次予選が開幕し、海城は19―0で足立工科・大田桜台・桐ケ丘・三商・中野工科の連合チームに5回コールド勝ちした。

 高校野球では今春から指名打者制度(DH制)が採用され、海城は「6番・DH」の西川宙(じょう=3年)が初回に中越えにランニング2ラン。「DHとしての緊張もあったので、初打席で打ててよかった」と喜んだ。

 ただ、一方の足立工科・大田桜台・桐ケ丘・三商・中野工科の連合チームは控え選手が4人いたが、DHを起用することなく渡辺謙介(2年)が「4番・投手」で出場した。幕田一也監督は「ウチはバッティングの良い子が投手にいる」と理由を明かした。

 それならば、先発投手が指名打者として出場する「大谷ルール」がある。ただ、同ルールで先発した投手は再登板できないため、一発勝負の高校野球においてはあまりにリスキーで、相性が悪い。この日は渡辺の後に中堅手でスタメン出場していた田中が救援登板。降板後は遊撃を守った渡辺は「大谷ルール」で出場していれば、再度マウンドに戻る選択肢が消えていた。

 好投手を複数人そろえる強豪私立と異なり、投手として公式戦に登板できるレベルにある選手が限られる公立校や連合チームにとって、再登板できないことは公式戦の「致命傷」になりかねない。だからこそ、幕田監督はDHを使用せずに先発投手の渡辺を4番に据えた。今後も「基本はDHを使わないです」と見据えた。

 再登板できないリスク――。5回コールド勝ちした海城・梶徹監督も「DHは(今後)使わない可能性もあります」と語った。高校野球では大差でリードしていたチームが終盤に反撃されて一転、接戦になるケースがしばしばある。そんな流れを断ち切りたい状況で「再登板」のカードは残しておきたい。

 高校野球のDH導入には「新たな活躍の機会の創出」、「投手の健康対策」の目的があったはずだが、前述した理由によってDHを使えないケースが早くも露呈した。目的達成のためには日本の高校野球の現実に則った「大谷ルールでも再登板可能」の特別規則を制定することが求められる。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

 ▽指名打者(DH) 「Designated Hitter」の略で、大リーグのア・リーグが73年に初めて採用。日本のプロ野球では75年からパ・リーグが採用し、セ・リーグでも来年から採用される。大学野球では今春から東京六大学野球、関西学生野球でも導入される。指名打者が投手に代わって打撃を行うDH制は試合開始前に使用の有無を決め、先発投手に対し少なくとも1度は打撃を完了する。試合途中からDH制を使うことはできない。先発投手が指名打者として出場する「大谷ルール」は降板後、再登板することはできない。

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