【内田雅也の追球】「追体験」としての課題

[ 2026年3月9日 08:00 ]

オープン戦   阪神2―3巨人 ( 2026年3月8日    甲子園 )

<神・巨>9回、リチャードの中飛で二塁に進塁した皆川(右)(撮影・岸 良祐)
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 3月恒例、甲子園での巨人とのオープン戦だった。阪神は昔から、この巨人戦を一つの節目としてきた。試合前に新入団選手の紹介を行うのも恒例である。そして、若手登用の試用期間と本番に向けての主力調整の境目にもなっていた。

 「昔はもっと遅く、中旬から下旬やったな」と川藤幸三が話していた。公式戦開幕が早まり、節目も早まった。

 「伝統の一戦」のライバル同士だが、近年は阪神が優勢だ。今季の下馬評でも阪神は優勝候補、巨人は劣勢が伝えられている。試合前、甲子園球場OB室にいてもわかった。球団顧問・岡田彰布や東京から来た江本孟紀らが口にしていた。

 岡田はテレビの解説でも話していた。阪神は「新外国人と立石(正広=ドラフト1位)とかで去年よりプラス。衰える選手もいない」。一方、巨人は「岡本(和真=ブルージェイズ移籍)の穴が大きい。しんどいね。去年も岡本がけがするまで巨人が首位だった。いかに存在が大きいか」。

 ただし、勝負の世界で油断は禁物である。当欄で何度も書いてきたがペナントレースは「一寸先が闇」だ。警戒心を持って見ていると、巨人の変化に気がつく。走塁面で積極性が際だった。

 8回表の得点(阪神から見れば失点)は1死二、三塁から二ゴロで三塁走者・佐々木俊輔のギャンブルスタートでの生還だった。直前には中飛で一塁走者・泉口友汰が二塁を奪った(阪神は奪われた)。9回表も無死一塁で中飛二進(走者・皆川岳飛)があった。

 進塁を許した中堅手は新人の岡城快生(筑波大)。二ゴロで本塁送球をあきらめた二塁手も新人の谷端将伍(日大)。ほろ苦い経験となった。

 試合後、監督・藤川球児は名前は出さず「課題が出た方がありがたい」と話した。「すべての選手が自分が経験してなくても、人の経験で自分の経験のように考えられる選手は成長スピードが速い」。他者の体験を自分と結びつけ血肉化する。追体験である。

 ルーキーたちは消沈する必要はない。満員の甲子園で貴重な経験を積むことができたのだ。

 きょうは『3月9日』。レミオロメンが歌っている。<3月の風に想(おも)いをのせて 桜のつぼみは春へと続きます><花咲くを待つ喜びを 分かち合えるのであれば それは幸せ>。

 誰もが開花を待っている。 =敬称略=
 (編集委員)

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