甲子園の好投手たちが「戦国東都」で簡単に通用しないワケ…日大・片岡昭吾監督「150キロを投げても…」

[ 2026年2月3日 20:49 ]

ノックを打つ片岡監督(撮影・柳内 遼平)
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 アマチュア野球の指導者らに采配やチーム運営などについて、インタビューする連載「指導者の思考法」。第10回は前回に続き、東都大学野球2部リーグに所属する日大・片岡昭吾監督(47)。1部リーグ23度の優勝を誇る名門を21年から率いている指揮官に「新入生」をテーマに話を聞いた。(取材 アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

 ――2月は「新入生入寮」の時期。全国の強豪高校から東都リーグの各校に逸材たちが加わる。ただ、この東都リーグは1年生が「即戦力」で活躍するケースが少ない印象がある。1年生投手についてはどう考えている。
 「1年生の春からどんどん起用するケースはあまりないですね。なぜかというと、投手には“投げる体力”と“精度”を求めるからです。高校時代に活躍する源になった良い球を持っていたとしても、(大学野球のストライクゾーンで)ストライクが取れなければゲームをつくっていけません。四球で自滅しないこと、これは学年に関係なく、試合で投げるための第一条件だと考えています。それに加えて、リーグ戦を戦い抜くだけの体力があるかをチェックします。これらの基準をクリアして初めて、昇格、降格のかかるリーグ戦のマウンドに上がることができるわけです」

 ――高校時代、“良いボールを投げるなあ”と思う好投手もすぐにリーグ戦デビューできるわけではない。どんな理由がある。
 「たとえ、150キロの剛速球を投げられても、クイックや牽制、フィールディングなど投げる以外のことができないと、すぐに崩されてしまいます。東都のレベルでは、相手チームは徹底的に弱点を突いてきます。良いボールを投げる投手でも、走者にプレッシャーをかけられ、自分の投球ができなくなる。バント処理やフィールディングが苦手なら、セーフティバントで徹底的に揺さぶられる。投球以外の“周辺能力”が低いと、投げること自体に集中できなくなってしまうんです」

 ――そこが他県の強豪と一発勝負で戦う甲子園と徹底的に研究される大学野球リーグの違い。
 「その通りです。東都でエースになる投手は例外なくクイックもフィールディングも上手いですよね。だから相手に付け入る隙を与えないし、僅差の試合でも勝ちきれる。プロに行くような選手は皆、そういった技術を備えています。逆に言えば、1つでも弱点があれば徹底的に攻められ、ピッチングどころではなくなってしまう。取れるアウトを確実に取らなければ、東都では勝てません。例えば、中大の東恩納投手はいきなり1年春から投げました(4先発で2勝2敗)けれど、彼は制球力があって、フィールディングもクイックも上手で、けん制もできた。でも、そんな高校生投手はなかなかいませんよね」

 ――東都リーグのチームは打てなくても、投手を崩す方法を知っている。
 「自分のピッチングをさせないようにチームで徹底してきますね。ウチにいた赤星(巨人)も亜細亜と対戦した時、全員が打者席のインコース寄りに立ってきた。やっぱり1球でも当ててしまうとなかなか、投げづらくなりますよね。力のある選手たちが“このピッチャーを崩すためにはどうすればいいのか”とチームで考えて崩してくる。各大学とも徹底力が高いと感じています」

 ――1年生野手についても同じような考え。
 「野手も同じですね。1年生でも能力が高ければ起用しますが、やはり経験を積んだ上級生の方が、試合の怖さを知っています。“この1つのプレーで負ける”ということを体と頭で理解している。勢いだけでは勝てないのが野球であり、1つのミスが命取りになる。“ベースカバーが少し遅れた”や“バックアップを怠った”のそれだけで失点につながり、試合に負けてしまう。そうした怖さを知り、頭を整理してプレーできる選手が、最終的に試合で活躍できるのだと思います」

 ――新しく加わった選手がリーグ戦に出るための基準がよく分かりました。春季リーグ戦もよろしくお願いします。 
 「今年はいいチームになると思います。選手たちは体も大きくなっていますし、キャンプに連れて行く選手を迷うくらい良い投手もそろっていますね」

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