【広島・黒田アドバイザー 単独インタビュー】投げ込みの重要性強調「リリース安定するとメンタルも安定」

[ 2025年11月14日 05:45 ]

広島の黒田博樹球団アドバイザー
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 広島OBで球団アドバイザーを務める黒田博樹氏(50)が13日、1週間に及ぶ秋季キャンプの同行日程を終え、スポニチの単独インタビューに応じた。若ゴイが例年にない球数を投げ込み、活気にあふれる宮崎・日南のブルペン。飛躍を願って献身的に動き回った同氏は、(1)リリースの安定が自信を生む(2)故障リスクも軽減する…として、投げ込みによる技術習得の重要性を改めて説いた。(取材・構成=江尾 卓也)

 ――この秋は、若手投手が例年になく投げ込んでいる印象です。

 「一番は選手たちの来季に懸ける気持ちの表れだと思いますね。加えて今秋は、個々の課題をつぶすことに主眼を置かないといけないのではと感じています。カープの投手陣はストライク率という初歩的なスタッツを見ても、1軍と2軍の平均値に4%近い差が見られました。両方で登板している投手もいるので、数字が全てではありませんが、この課題を解消するには投球フォームの再現性とリリースの安定が重要ではないかと思います」

 ――黒田さんは以前から投げ込みの重要性を説かれていました。

 「誤解してほしくないのは、無計画で過剰な投げ込みを推奨しているわけではなく、理にかなったものでなければいけません。投げ込みにはケガのリスクがありますが、リスク回避ばかりしていては成長できない。体の使い方を習得できれば、長いシーズンを乗り切るフォームが身に付きますし、疲れた状態でもボールを操るテクニックを覚えることで、ケガ予防にもなる。追い込んでいく中で自分の体の反応を見極めることもプロには重要なスキルだと思います」

 ――技術の習得は。

 「そこが一番重要です。特にリリースポイントですね。これは、投げ込んでいく中で個々がつかむしかない。リリースの繊細なタイミングやフィーリングは教えられるものではありません。マウンドでは強い重圧がかかる場面でも、無意識レベルで体を動かさなければいけない。そこで意識がフォームやリリースに向くと、打者ではなく自分との闘いになってしまう。私見ですが、リリースが安定するとメンタルも安定し、打者との勝負に集中できると思うので」

 ――ご自身も、完投で飾った巨人戦(97年4月25日)でのプロ初登板初勝利が“自信にならなかった”と話されていました。

 「当時は、本当の意味でフォームが身に付いていなかったということですね。自分に制球力があるかないかは本人が一番分かっているはず。調子が良くない時に一気に崩れてしまうのは、フォームとリリースの安定性を欠くから。無意識、あるいは最低限の意識でゾーンに投げ込めるフォームを体に染み込ませることが、安定感につながると思いますね」

 ――プロでもリリースポイントを確立していない投手がいます。

 「高校、大学から備わっている投手もいれば、プロに入ってから確立しなければならない投手もいる。少ない球数で安定したリリースが身に付くなら、体に負担をかけてまで投げ込む必要はありません。ただ、どんな競技でもトップアスリートといわれる人はスキル向上や記録更新のために、自分の限界に挑み続けている。体ができていないアマチュアは別ですが、一年一年が勝負のプロには、そういったアプローチも一つの手段として必要ではないかと思います」

 ――なるほど。

 「秋は“これだ”というものをつかむチャンスだと思うんです。自分の地位を確立している選手は、このキャンプにいません。いるのは、伸びしろを期待されている選手たち。きっかけを得て技術を身に付ければ、自分への期待が大きく芽生える。きっかけをつかんでオフに入り、来年を良いシーズンにしてほしいと思います」

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