【内田雅也の追球】最後にきた「しわ寄せ」

[ 2025年6月28日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神3―4ヤクルト ( 2025年6月27日    神宮 )

<ヤ・神>降板後、ベンチから戦況を見つめる村上(撮影・北條 貴史)
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 首位をゆくチームが断トツ最下位チームに逆転でサヨナラで敗れる。試合前、後輩記者に「簡単に勝てるように映る試合は要注意」と話していた。「それが野球」で予感が当たったわけだ。ムダな走者を出し、ムダな憤死もあった。最後にしわ寄せが来ていた。

 3―0の7回裏、先発・村上頌樹は並木秀尊にソロ、ホセ・オスナに2ランを浴び、同点とされた。ともに高めに浮いた失投だろう。1試合2被弾は4年ぶりである。

 試合中に伝えられた村上の談話に理由が垣間見える。「ボール先行で、すんなりといくイニングを作ることができなかった。それが7回の巡りにつながってしまいました」。6回まで無失点。2、6回裏は3者凡退に抑えていた。問題は4、5回裏に続けて招いた満塁だろう。自ら与えた3四死球がからんでいた。

 4回裏は表の攻撃で約20分間の降雨中断があった。待機中の調整は難しかったろう。2死は取ったが、安打と連続四死球で満塁を招いた。迎えた伊藤琉偉への初球、カーブが高めに浮いた。快音を発した打球はライナーとなったが、中堅手・近本光司の正面だった。

 この夜はこうした「快打正面」がよく見られた。2回裏の宮本丈のライナーは小幡竜平が横っ跳び。4回裏先頭、内山壮真の左翼後方への飛球は森下翔太が好捕。守備陣にも助けられていた。

 村上はまた、5回表先頭の打席で左前打で出塁した。だが後続は中飛、中飛、空振り三振で攻撃終了まで一塁上でくぎ付けだった。しかも2死からはフルカウントとなり、ファウルも含めて2度スタートも切っていた。

 「四球」「走者」など多くの野球用語を訳した俳人、正岡子規は今で言う残塁を「立尽(スタンジング)」「立往生(たちおうじょう)」と表現した。子規の言う通り、塁上に立ち尽くした後の5回裏も苦しんだ。2安打と四球で1死満塁。何とか踏ん張ったのはさすがだが、心身ともに消耗していただろう。

 攻撃も適時打はラモン・ヘルナンデス1本だけで後は敵失に捕逸で得た。4回表には無理な本塁突入での憤死もあった。

 6回裏から三塁手に守備固めで熊谷敬宥を入れたが、思わぬ同点で代打・高寺望夢を送る羽目となった。その高寺の失策でサヨナラ負けである。

 つまり、いくつものしわ寄せが重なって敗れたのだった。
 =敬称略=
 (編集委員)

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