「チームは誰のもの?」拡大するマルチスポーツ所有とファンのジレンマ

[ 2025年6月21日 10:20 ]

マーク・ウォルター氏
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 スポーツネットサイト「ザ・スコア」が20日、スポーツチームの所有構造が複雑になってきたと報じた。

 かつて、スポーツチームを所有することは裕福な人々にとって「高価なおもちゃ」を持つようなもので、名物オーナーがチームの顔になり、一つのチームに100%の愛情を注いだ。ヤンキースのジョージ・スタインブレナー氏、NFLレイダースのアル・デービス氏、最近ではNBAマーベリックスのマーク・キューバン氏などがそうだった。しかし、チームの資産価値が急騰し、レイカーズが100億ドル(約1兆5,000億円)という過去最高額で売却された今、多くのフランチャイズがマーク・ウォルター氏のようなマルチスポーツ所有グループに買収されている。

 ウォルター氏はドジャースのオーナーであるだけでなく、WNBAのロサンゼルス・スパークスや女子プロホッケーリーグ(PWHL)全体のオーナーでもあり、イングランド・プレミアリーグのチェルシーFCにも出資する投資グループの一員。その他にもサッカー関連の投資は多数にのぼる。彼らが求めるのはもはや「おもちゃ」ではなく、複数のリーグ、スポーツ、さらには大陸をまたぐ「資産ポートフォリオ」だ。

 この動きは現代スポーツ界の大きな潮流で、マーケティングや営業などでチーム間で業務上の効率化も図れる。ただ、こうした「所有の複雑化」は、ファンにとってはチームの責任者が誰なのか分かりづらくなるという弊害も生む。投資対象の一部と化したチームに対して、誰が勝利を本気で追求しているのかが見えにくくなる。

 たとえば、レッドソックスがラファエル・ディバースをジャイアンツに突然トレードしたとき、ファンは残る2億7000万ドル(約394億2000万円)以上の契約を他のチームの戦力補強に回したかったのかと疑った。元コラムニストで現メディア経営者のビル・シモンズは、レッドソックスの親会社フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)の傘下にあるプレミアリーグ・リバプールFCが、高額でドイツ代表MFフロリアン・ウィルツを獲得したことを指摘。その資金をサッカーに回すためだったのではないかと記した。レッドソックスは憶測を否定したが、かつてはFSGの宝石だったレッドソックスも今ではプロサッカーチーム、ホッケーチームなどを所有する巨大企業の一部になっている。

 こうした「複雑な所有構造」への流れは今後も止まる気配はない。NFLはこれまで、チームの意思決定を迅速にするためオーナーに一任する「単独所有モデル」を重視してきた。しかし、近年は球団価値の上昇により、単独ではチームを買えない。そこでプライベート・エクイティ(PE)などの投資会社に最大10%まで売却を認めるように変化している。

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