【球影】阪神・植田の神走塁生んだ2つの好判断 赤星憲広氏が16日巨人戦での“スゴ技”を深掘り

[ 2024年4月23日 05:15 ]

ヘッドスライディングを選択し、右手でベースタッチした阪神・植田
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 【球影 あのシーンを検証】スポニチの豪華評論家陣が勝負のターニングポイントになったプレーなどを振り返り、深掘りする「球影」を始める。走攻守のスペシャリストが独自の視点で解説。第1回は現役時代に通算381盗塁を記録した赤星憲広氏(48)が、16日の巨人戦(甲子園)で神走塁を披露した阪神・植田海内野手(28)の“スゴ技”に迫った。 (取材・構成 畑野 理之)

 2つの好判断が神走塁を生んだ。16日の巨人戦で0―1の7回1死二、三塁の場面だ。ノイジーの代走で一塁走者として出場していた三走・植田が代打・糸原の右中間寄りの浅い右飛でタッチアップして生還。赤星氏は捕手のタッチをかいくぐった右手でのベースタッチがまずその好判断<1>だと指摘する。

 「植田も試合後に話していたように、左手を伸ばしていれば捕手のミットが届いていたでしょう。滑りながら体を右へよじって右手でベースに触りにいったのが勝因」

 もし赤星氏が三塁走者だったらどう滑るのか。同氏はヘッドスライディングはしないため、左足からのスライディングをイメージする。右翼手からの送球は中継の二塁手へ転送。本塁への送球、そして捕手の動きは見えるため、本塁へ左足を伸ばしながら、体を同じように右側へよじってタッチを交わすはずだという。

 「際どいと思えば、右手でホームにタッチしにいくでしょうが、スライディングだと体が流されて右手を伸ばしづらいでしょうね。頭で考えてできるプレーではないので、ヘッドスライディングを選択して(好判断<2>)、左手を下げて右手を伸ばしたのは植田のとっさの判断。走塁のセンスですよね」

 直前1死二塁から木浪の投ゴロで飛び出したのは反省すべきとの前提だが、「二、三塁間の挟殺プレーで生き残り、植田のスピードがないと同点にはならなかったビッグプレー」。試合は1―1の延長10回表無死で降雨コールドによる引き分け。得点力不足の中でも1点を取る野球で負けなかった。チームを勢いづけ、そして6連勝へとつながる神走塁だった。

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