韓国人初のMLB戦士・朴賛浩氏が語った韓国でのMLB開幕、大谷、ダルへの思い

[ 2024年3月20日 16:15 ]

会見する朴賛浩氏。は始球式で使用するグラブへの思いも語る
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 大リーグは20日、韓国・高尺(コチョク)スカイドームで行われるドジャースとパドレスの一戦で開幕する。ドジャース・大谷翔平投手(29)はプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル(決定時約1015億円)での移籍、真美子夫人(27)との結婚など注目度が高まる中でのド軍デビュー戦となり、パ軍先発・ダルビッシュ有投手(37)と人生初対決となる。

 この注目の一戦で両球団に在籍経験がある韓国人初のメジャーリーガー、朴賛浩(パク・チャンホ)氏(50)が始球式を務める。「コリアンエクスプレス」と呼ばれた右腕の同氏は94年にドジャースでデビュー。05、06年はパドレスにも所属し、アジア出身の投手で最多の通算124勝を挙げた。その後にオリックスでもプレーし、12年に現役を引退した。朴賛浩氏は試合前の会見で思いを口にした。

 ――韓国でMLBの開幕戦が行われる。
 「30年後にこうしたことをもたらすことができるとは思っていなかった。その歴史をつくることができたのは感慨深い。博物館から30年前のグラブを持ってきた。始球式を行うが、そのグラブをお見せしたくて。有意義な1日になります」

 ――5人のアジア出身選手が開幕ロースターに入った。
 「30年前には私一人でした。マイナー降格の翌年に野茂英雄選手がMLBに入り、東洋の扉を開きました。当時は私も野茂選手が開いてくれた扉に再び入っていくという状況でした。ドジャースのチームメートとして活躍しながら、東洋のMLBへのドアはより開かれ、確固たる地位を築くことができた。その後も多くの東洋人の選手が日韓、そして台湾からも大リーグ入りを果たす選手が出てきた。野茂英雄さんという樹木が非常に偉大だった。朴賛浩という樹木も育ち、きっかけとなり、東洋の選手が大リーガーを夢見て成長していってくれた」

――多くのアジア出身選手が、特にドジャースで活躍している。
 「私を通じて韓国の野球ファンに伝わり、韓国の国民たちには初恋のようなものでしょうか。金融危機もあり大変な状況でしたが、プレーを通じて国民に勇気や力を与えられたのが、ブルーのユニホームでした。ともに戦い、時にはともに嘆いたり。暮らしの一つの一面になった。ドジャースのカラーが非常に深い思い出になったと思う。ある特定のチームが韓国のファンに伝わるというだけではなく、多様なMLB全体が韓国には浸透していったのではないか。韓国のファンの方々は大リーグの多様なチームを応援していると思う。ロサンゼルスという町は私のふるさと、実家のようなもの。とても意味があることではあります」

 ――ドジャースは初恋で、今はパドレスに所属している。
 「私は今日の試合で誰が勝ってほしい、ということはないです。トップレベルの試合をこの開幕戦、明日の2戦目と韓国人に見せられれば、素晴らしい試合になればと期待しています」

 ――ダルがアジア最多勝を超える可能性がある。
 「記録というのは非常に重要なものだと思う。07年にマイナーでシーズンを送る予定で自分のキャリアはここまでかと思っていた時代があった。でも野茂選手を見てもう1回勇気を持ってやろうという気持ちになった。野茂選手のおかげで再起する、はい上がることができた。私が残した通算124勝というのもいつかは敗れる、敗れるべきであり、ダル選手必ずや実現してほしいと思います。次世代にとってよいゴールとなり挑戦できるトップレベルのものとなることを望んでいます」

 ――そのグラブについて
 「韓国で野球を始めたときから使っていた。同具は全部先輩の方のものをもらう時代がありました。そして自分のものを後輩に譲ったり。自分が使っていたものを価値があるとして保つ概念がなかった。ところが米デビュー戦で、失点して残念なものだったが、2イニング終えてダグアウトに入ったらラソーダ監督がハグしてくれ、ボールを渡されました。当時は通訳が入れなかった。あとでボールを説明してくれた。これは歴史に残るボールになるよ、なぜなら韓国の選手が大リーグで三振を奪ったものだと。それから全ての道具を所蔵しています。そうしたボールを含めて。勝利したボールをリリーフと取り合ったり。それを124個集めて、実家の博物館に寄贈した。このグラブは見た目はきれいなものではないが、非常に価値のあるものです」

――キム・ハソンについて。
 「サンディエゴでいろんな話をしたことがある。契約にもかかわり、保護者のように愛情を持って、責任感を持って見守ってきました。去年は大きく成長し、ゴールドグラブ賞を受賞し歴史を塗り替えた。野球がうまくなるだけでなく、内面的な人格もしっかりとした人間になってくれてとてもうれしい。スーパースターとして引っ張っていく一面もある。パドレスの夕食会で彼がスピーチをし、勇気を与え、コメントする姿を見てとてもうれしい。30年前の自分は話もできなかった、ありえなかったことだ。特に大谷選手、昨年のWBCで決勝戦を控えてコメントする姿を見て子供たちも学んだと思う。キム・ハソン選手もそうしたことからも学び、成長していると思う」

 ――韓国野球について
 「30年前の野球と比べると大きく発展している。メジャーの扉が開き、子供たちがメジャーの試合を見ること自体がレベルアップになると思う。私は田舎育ちで大リーグの写真さえ見ることができず、とても夢見ることさえない環境で育った。今の選手たちはマイナーリーグが何なのか、メジャーとは何なのか、どうすれば昇格できるのか、トップ韓国選手がどのように学んでいったのか、そうしたものを知った上で育ち、成長し、海を渡っていく。今後もより多くの試合が韓国に伝わればと思う」

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