DeNA・バウアー 味方の緩慢守備にほえて喝!2点差追いつき執念ドロー

[ 2023年7月2日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA2―2中日 ( 2023年7月1日    横浜 )

<D・中>6回を投げ終え怒りが収まらずほえるバウアー(撮影・島崎忠彦)
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 バウアーは激怒した――。DeNAのトレバー・バウアー投手(32)が1日、中日戦で6回10安打2失点(自責1)の粘投を見せた。0―2の6回には味方の緩慢な守備の後、何度も雄叫びを上げるなどヒートアップ。チームは奮起し8回に追いつき、ベンチ入り17野手を使い切る総力戦で延長12回ドローに持ち込んだ。4連敗中だったチームを一喝するような、サイ・ヤング賞右腕の怒りだった。 

 怒った、エキサイトした、とにかく腹が立った。これほど感情をあらわにするバウアーは来日初だ。マウンドで声を荒らげ、全身で怒りを表す。それほど異例の場面だった。

 「かなり腹が立っていた。前半はチャンピオン(になるチーム)の野球ができてなかった」

 その象徴のシーンが0―2の6回だ。2死一、二塁。2番・岡林のゴロが二遊間に飛ぶ。二塁手・牧が捕球し、二塁をオーバーランした龍空を二、三塁間で挟み、つられて三塁を飛び出した石橋を今度は三本間で挟むが、アウトにできない。挟殺プレーのあり得ないミス。オールセーフとなると、本塁後方にいたバウアーの怒りは一気に爆発した。グラウンドに背を向け、感情を制御できずに何度も叫んだ。なおも2死満塁のピンチでは「腹が立って、とにかく強いボールを投げようと思った」と高橋周を158キロ直球で投ゴロ。一塁送球せず、自ら一塁へ猛ダッシュし、ボールをスタンドへ投げ込むと、ベンチ奥へ向かいながらさらに何度も大声を上げた。

 「(怒りは)誰かにではない。あの状況に対して腹が立った。不運もあったし、優勝するチームの野球ができない状況に、自分に対しても」。サイ・ヤング賞右腕の怒り。こんな野球では優勝できないといういら立ちの裏返しだった。「試合に集中しているから。熱くなるのはバウアーだけじゃない」と三浦監督。6回2失点で降板した右腕だが、その熱い思いがつながった。

 2点を追う8回に、しぶとくつないで追いつき延長戦へ。延長11回には桑原が負傷交代し、12回の守備ではベンチ入り野手17人で最後の一人となった捕手の山本が一塁に、内野手の知野が左翼へ回った。4連敗を止めることはできなかったが、総力戦で執念の引き分けに持ち込んだ。

 「ポケモンボールパーク ヨコハマ」の第2戦。学生時代にカードを集め、ゲームをよくやったという右腕が発した、ピカチュウの必殺技「10万ボルト」のような熱量がチームを鼓舞した。「後半は凄くいい野球ができた。勝てる野球だった」。バウアーはこの熱さが、優勝へつながると信じている。(秋村 誠人)

この日は、球団史上初の個人ファンクラブ「トレバー・バウアー オフィシャルファンクラブ」のVIP会員企画も実施された。会員費は超高額の「220万円(税込み)」。ディナー、キャッチボールなどの触れ合いのほか、リムジンでの出迎えがあるなど、超豪華特権付き。試合後はバウアーとの記念撮影なども行われた。

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