美技「アライバ」を練習する岡田阪神と「ワンチーム」ラグビー日本代表の共通点とは?

[ 2022年11月26日 14:00 ]

二遊間の選手を集め、指導する岡田監督(左)(撮影・平嶋 理子)
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 通称「アライバ」は、二遊間の華麗なコンビプレーを指す。中堅へ抜けようかという深い打球を二塁手が逆シングルで追いつく。態勢を立て直していては打者走者を刺せないため、取ったままの姿勢でバックハンドトス。それを遊撃手がもらって一塁へ投げる超ファインプレーだ。2000年代に鉄壁の守備を誇った中日の荒木、井端のコンビが使ったことで、有名になった。

 この技を、阪神が10月の秋季練習と11月の秋季キャンプでよく練習していた。聞けば、岡田新監督と平田ヘッドコーチは、二遊間を組んだ現役時代に取り組んでいたそうだが、1年に1度あるかないかのプレーを日頃から取り組むという姿勢に、興味を覚えた。

 2019年のラグビーワールドカップ。日本代表の練習も、トリッキーなパスをよく練習していた。背面パス、タックルを受けながらつなぐオフロードパスなど、一見、曲芸的に見えるような多種多様なパスを、真剣に練習した。「両手でパス」が基本精神の一昔前の日本なら、怒られるようなプレーながら、これが本番で生きた。パスワークは世界トップクラスと称えられ、初の8強進出につながった。チームスローガンの「ワンチーム」は、世間に浸透した。

 岡田阪神とラグビー日本代表。両者に共通しているのは、遊び心があるようなプレーでも、突き詰めれば技術に昇華できるということではないだろうか。ファインプレーを偶然ではなく必然に―。これぞプロフェッショナルの取り組みだと感じている。(阪神担当・倉世古 洋平)

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2022年11月26日のニュース