プロ野球界活性化への新制度提案 シーズン中「支配下→育成」の複数メリット

[ 2022年8月31日 08:00 ]

ソフトバンクは今季、育成14選手が入団。昨年ファンフェスタでの選手紹介(2021年12月11日撮影)
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 プロ野球の「育成選手」の制度は2005年にスタートした。現在は各球団ともに多数の育成選手を抱えており、底辺拡大の意味も含めて同制度は定着した感がある。

 今年2月以降、計42人もの選手が育成契約から支配下契約となった。最多は巨人の8人。ロッテ、オリックス、ソフトバンク、西武、中日、阪神が4人で、全12球団が育成→支配下選手契約を行った。コロナ禍で1軍選手が足りなくなる球団事情もあっただろう。
 入れ替えの多さは、イコールでプロ野球界の活性化につながる。一人でも多くの選手にチャンスが与えられるからだ。ならばここで、7月31日までの期間限定で、逆パターンとなるシーズン中の「支配下→育成契約」の導入を考えてみたらどうか。

 大リーグでも今季の秋山、筒香、沢村のように、シーズン中に40人枠を外れるケースがある。シビアな入れ替えのように感じる一方で、枠が空くことで昇格する選手は好機到来となる。70人枠がある日本のシステムでも、シーズン中に新たな選手にチャンスを与えるのはどうだろう。

 例えば故障や手術などで、ある選手が今季絶望になったケース。これがシーズンの早い段階ならその選手を育成選手に切り替えて、空いた枠で育成選手から支配下選手に昇格させる。従来はシーズンオフに行っていたが、これを7月31日までのシーズン中に実施する。一人でも多くの選手にチャンスを与える意味でも一考の価値はあるように思うが、どうだろうか。

 シーズン中に支配下→育成の可能性があるとなれば、現場にこれまでにない緊張感も生まれるだろう。その是非はともかく、選手に活躍の機会を少しでも多く与えることは何よりも重要。今オフには現役ドラフトも導入される見込みだ。プロ野球界の活性化はイコール、日本の野球界全体の活性化につながると思う。
(記者コラム・鈴木 勝巳)

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2022年8月31日のニュース