オリ由伸 「野球を楽しむ」ぶれない幼少期からのテーマ 気負わず自己最長更新10連勝で13勝目

[ 2021年9月11日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス7ー1西武 ( 2021年9月10日    メットライフD )

<西・オ19>13勝目を挙げた山本はポーズを決める(撮影・小海途 良幹)
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 オリックス・山本由伸投手(23)が10日の西武戦で自己最長をさらに更新する10連勝へ伸ばした。107球を要しながら9奪三振で6回無失点。両リーグトップ独走の13勝目を挙げた。23歳シーズンでの2桁連勝は球団では阪急時代の58年秋本祐作の13連勝以来63年ぶり。首位奪回はならなくても、東京五輪をともに戦った吉田正が離脱中の窮地でエースの奮闘が光った。

 勝負どころを察知する嗅覚が抜けている。山本は危機を背負うたびに、意図的にギアを切り替えていた。

 「そこまで意識はしていないですけど、多少変わっているかな」

 立ち上がりから再三、得点圏に走者を招いて集中力を高めた。勝負球は150キロに迫る高速フォーク。初回1死二塁では森を遊ゴロ、中村は空振り三振に退けた。2回は先頭の外崎に粘られて12球を費やして四球。嫌な雰囲気が漂う場面で、栗山を“宝刀”で一ゴロ。さらに、山川、愛斗をフォークで2者連続空振り三振だ。

 神がかり的な快進撃でも本人は物足りない。序盤から球数がかさみ、107球で降板した。「ゼロで抑えたことはいいですが、思ったところに投げられていなかった。内容は最悪」。高い修正能力もエースの持ち味だ。

 3回終了時にベンチへ戻ると中嶋監督、若月と意見交換。投球フォームの力みを修正した。「もう一回つくりなおした。6回には力も抜けて投げられた。最初からそのフォームで投げられるように」。4回以降は1人の走者も許さなかった。

 145回2/3まで積み上げ、両リーグ最速で規定投球回に到達。防御率1・54は後輩の2位・宮城を大きくリード。154奪三振も断トツで、19年以来2度目の最優秀防御率のタイトルを含めた“投手3冠”も視界に捉える。ロッテも勝ち、2位のまま。激しい優勝争いで、この存在感は頼もしい。

 過去に語っていた。「野球を楽しむ。小学校の卒業文集に“プロ野球選手になりたい”って書くほど強く思っていなかったし、書いてなかったですね。ただただ、野球が楽しかったんです」

 吉田正が負傷離脱中。正念場を迎えても幼少期からのテーマは変わらない。「能見コーチや平野さんら先輩がたくさんいるので、背負っている感じはないんです。楽しんでやれたら一番いいかな」。25年ぶりの頂点はエースの右腕にかかっている。(湯澤 涼)

 《セパ最速で規定投球回突破》山本(オ)が5月28日のヤクルト戦から10連勝。シーズン2桁連勝は昨年の菅野(巨)の13連勝以来で、オリックスでは10年金子(現日本ハム)の13連勝以来。山本は現在23歳。チームで23歳以下の2桁連勝は、阪急時代の58年に同じ23歳シーズンの秋本祐作が13連勝して以来63年ぶり。145回2/3となり両リーグ最速でシーズン規定投球回の143回を突破。防御率1・54はリーグトップで、2位宮城(オ=2・13)を0・59も引き離し、19年以来2度目の最優秀防御率も見えてきた。

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