「米田超え」のオリックス・宮城 恩師の助言を大事にする19歳に本格ブレークの予感

[ 2021年4月10日 06:00 ]

オリックス・宮城
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 普段は素朴な19歳。「あか抜けたとは言われるようになりましたけど…。大阪に染まったのでしょうか?」などと、はにかむ姿は好感が持てる。オリックスの高卒2年目・宮城は、マウンドに上がると一変する。ベテランのような投球術、10代とは思えない貫禄たっぷりの姿を見せる。

 ボール先行になっても、走者を背負っても、表情も変えずに崩れない。4日の楽天戦で8回を散発2安打無失点で開幕2連勝。鳴り物入りで加入した敵軍ドラフト1位左腕・早川にも投げ勝った。初めての敵地は雨で足場が悪く、味方の拙守もあった中で「ピンチになるほど緊張が、ほぐれました」とさらりと言ったことに驚いた。

 3月27日の西武戦では前身の阪急だった57年米田哲也以来、64年ぶりの球団10代投手の開幕カード先発勝利。そこからの2連勝は、人間機関車と呼ばれ歴代2位の通算350勝腕も成し得なかった「米田超え」だ。高卒2年目までに開幕から2戦2勝は78年三浦広之以来(2戦目は中継ぎ勝利)で、先発に限れば、2リーグ制以降では球団史上初だった。

 2年目の進化の要因が、90キロ台と100キロ台に投げ分ける2種類のカーブだ。母校・興南学園の我喜屋監督は、「プロでは新球種も必要だし、持ち味の直球を生かすためにも思い切り腕を振っておいて、打者が待てないスローボールを投げられる勇気も必要」と話したことがある。140キロ台後半の直球、カーブ、スライダー、チェンジアップ、どの球種でも、ほとんど腕の振りが変わらない。恩師の助言を大事にする辺り、宮城の人柄の良さが、にじみ出る。

 新人王資格も残し、球団の高卒投手では、95年平井正史(投手コーチ)以来となる栄誉も見えてきた。多くの野球ファンが、宮城の本格ブレークを予感しているはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年4月10日のニュース