ゴジラの、筒香の「全盛時」に並んだ 阪神・佐藤輝が「驚愕」140メートル場外弾 

[ 2021年4月10日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神9ー2DeNA ( 2021年4月9日    横浜スタジアム )

<D・神>6回無死、阪神・佐藤輝は右越えにソロ本塁打を放つ(投手・国吉)(撮影・坂田 高浩)
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 驚がくの一撃だった。阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)が9日のDeNA戦で圧巻の場外弾を放った。6回に7試合24打席ぶりの3号は右中間席を越えて横浜スタジアムの外へ。推定飛距離140メートル。初見参の横浜スタジアムで驚異のパワーをさく裂させ、改めて次代を担う大砲の資質を証明した。

 どこまで飛んでいくんだ。みんなが驚いた。高々と打ち上がった打球は右中間の場外へ。この一撃に横浜スタジアムは歓声を通り越して、静寂に包まれた。佐藤輝も打った瞬間に確信していた。一歩、二歩…と歩き出し、ゆっくりダイヤモンドを一周した。

 「すごい、いい当たりだった。いい感触だったので、しっかり当たれば、あそこまで飛ぶなというのは分かりました」

 3―0の6回先頭で、カウント1―1から国吉の甘いカットボールを強振。1日の広島戦以来、7試合24打席ぶりの3号ソロは推定140メートルの場外弾で、持ち前のパワーがさく裂した。ベンチでは肩の荷が下りたのか、満面の笑みがこぼれた。

 オープン戦の“本塁打王”として迎えた開幕。新人とは思えないほど厳しい攻めにあった。プロ1号は開幕2戦目。以降も執拗(しつよう)に内角を突かれ、何本もバットを折るなど苦戦した。打率1割台で、三振もリーグ最多を独走。救いの手は首脳陣や仲間から差し伸べられた。

 横浜への移動試合。試合前練習ではティー打撃から井上ヘッドコーチに助言され、フリー打撃後には矢野監督からも直接指導を受けた。

 「捻転差というか上半身と下半身の割れです。割れのつくり方は自分では分からない。いつも同じ位置から見てくれている監督やコーチの助言というのはありがたいです」

 スイングする時の修正ポイントを身ぶり手ぶりで教わった。矢野監督も「壁がなくてオープン戦からシーズンに入っちゃったんで。そういうところで今、壁に当たって、俺らも気づいたことを伝えていく時期に入っている」と思いを込めて向き合っていた。

 8日の巨人戦前の練習ではサンズからも内角のさばき方を教わった。周囲のサポートも力に変え、自ら壁を一つ乗り越えた。

 初回の右前打を合わせて2試合ぶりのマルチ安打。トンネルを抜け出し、明るい光をともした。横浜スタジアムでの場外弾は松井秀喜ら球史に残る強打者も描いた。白球は外周通路に落ち、係員が回収。新たな伝説の幕開けを予感させる号砲が鳴った。 (長谷川 凡記)

 【記者フリートーク 阪神担当・阪井 日向】

 驚異的な長打力は睡眠のおかげ!?佐藤輝がプロを志し、ジムでの筋トレを始めた仁川学院2年時から卒業するまでに身長は10センチも伸びたという。

 母・晶子さんは「高校が近かったので、ぐっすり寝られていた。それが大きかったかなと思う。強豪校だったら朝早くから夜遅くまで(練習)があるので。あの子は朝8時近くまで寝ていたかな」と振り返る。本人にも自覚があったようで、「それは間違いないと思いますね」と認めていた。

 当時ガリガリだったという体格はプロ入り時点で1メートル87、94キロ。近大時代から特注のマットレスで眠り、プロに入った今でも遠征中はポータブルタイプで眠る。快適な睡眠が怪物新人のパワーを支えている。

 【横浜スタジアムでの日本人打者場外弾】

 ☆98年松井秀喜(巨人) 5月13日の横浜戦の3回、戸叶の内角直球を捉え、右翼席最上段の広告看板を越える推定150メートルの2ラン。横浜公園の日本庭園内に落ちた打球は、通行人が持ち去り行方知れず。

 ☆09年中村剛也(西武) 6月6日の横浜戦の初回、小林のスライダーを強振。弾丸ライナーで左翼場外を飛び越える推定150メートルの3ランとなり、後方の木に当たってポトリと落ちた。

 ☆11年筒香嘉智(横浜) 9月15日の巨人戦の3回、小野のスライダーを振り抜き推定135メートル弾。右翼席後方、一度バウンドした打球は「鳩サブレー」の看板も越えて場外に消えた。

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