中畑清氏 阪神・佐藤輝&巨人・秋広…魅力あふれる新人たち

[ 2021年2月23日 08:30 ]

<神・広>3回、敵失を誘う飛球を打ち上げる佐藤輝   (撮影・成瀬 徹)
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 【キヨシスタイル】紅白戦から練習試合と実戦段階に入ったキャンプ終盤。こんなにスケールの大きいバッターがいたんだと思わせてくれる新人がいる。ともに左打ちの阪神・佐藤輝と巨人・秋広だ。

 まずは佐藤輝。キャンプ序盤のフリー打撃を見たときは、右足を上げてそのまま打ちにいっていた。これじゃあ緩急で崩されやすいんじゃないかと思ったけど、試合になったら違った。右膝を少し捕手側に入れてテークバックを取る。軸足の左足にしっかり重心を乗せ、ボールを呼び込む形をつくっているんだ。

 闘争心。投手に向かっていく姿勢もいい。21日の広島との練習試合、去年の新人王・森下との対戦にはしびれたね。初球ボールのあと2球目の真っすぐを空振り。ファーストストライクから積極的に振っていき、3球目の変化球も空振りした。1―2からの4球目は内寄りの真っすぐ。ほれたよ。当てにいくんじゃなく、しっかり振ってファウルしたんだ。続く内角スライダーを悠然と見逃し、最後は150キロの外角真っすぐを捉え、右中間へ二塁打した。

 追い込まれても自分のスイング。ソフトバンクの柳田が出てきたときを思い出したよ。ボールを呼び込む形がいいから、たとえ形を崩されてもギータのように右手一本で拾うことができるんじゃないかな。去年の森下のようにいい投手は毎年出てくるけど、球界を背負って立つ打者はそうそう出てこない。野性味あふれるスラッガー。野武士のような面構えもいい。めちゃ楽しみだ。

 スケールという点じゃ秋広も負けない。しなやかで飛距離が出る打撃。2メートルの長身にして身のこなしがいい。走る姿がいいし、グラブさばきも柔らかい。こちらは打撃も見た目もエンゼルスの大谷に似ている。対外試合じゃ結果が出ていないけど、積極的に振っていく姿勢がいい。まずは体をつくり、打席で経験を積むこと。体の芯にパワーがついたとき、どこまで伸びるんだろう。未知の魅力にあふれている。

 右打ちにも楽しみな新人がいる。西武・渡部、DeNA・牧…。他にもきっといるんだろうな。私にとって今年は現地取材自粛キャンプ。もどかしいなあ。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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